『シン・ウルトラマン』はどんな内容に? 庵野秀明×樋口真嗣のこれまでの作品から考える

 総監督・脚本を庵野秀明、監督・特技監督を樋口真嗣が務めた『シン・ゴジラ』(2016年)は、東宝の看板『ゴジラ』シリーズのなかでも極めて高い評価を受けた成功作となった。その勢いに乗って、今年8月、正式に制作が発表されたのは、同じコンビによる、映画『シン・ウルトラマン』だった。一見冗談のようだが、今度は庵野秀明が企画・脚本、樋口真嗣が監督を担当し、2021年に公開するという大真面目な企画だ。庵野が代表を務める株式会社カラーの発表によると、「庵野は『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(2020年6月公開予定)の完成後、樋口組に本格的に合流する予定」だという。

 ここでは、そんな期待の『シン・ウルトラマン』の内容について、すでに脚本の“検討稿”を書き上あげたという庵野秀明の作家性を考慮に入れながら、作品の焦点となりそうな部分を、いまから考察してみたい。

(c)円谷プロ

 「特撮の神様」と呼ばれる円谷英二が重要な役割を果たした『ゴジラ』、『ウルトラマン』は、そのまま日本の特撮作品の代表といえる、いまでも新作が作り続けられる人気シリーズである。大学在学中からアマチュアとして『ウルトラマン』のパロディ作品を手がけていた庵野、そして東宝で実際に『ゴジラ』シリーズの特撮に参加していた樋口。彼らは若い時代から筋金入りの特撮ファンであり、特撮作品を生み出してきた親交のあついクリエイターでもある。両者がいま、特撮の代表格である『ゴジラ』を経て、さらに『ウルトラマン』を現代の作品として作り上げるというのは、ある意味では順当であるのかもしれない。

 庵野はアニメ作品の監督としてのイメージが強いが、その作家的なルーツには、特撮作品が欠かせない。『ウルトラマン』シリーズの熱烈なファンである彼は、なかでも『帰ってきたウルトラマン』(通称:『新ウルトラマン』)はお気に入りなのだという。そんなシリーズの設定を基に、学生時代に仲間たちと撮った8ミリ実写作品『帰ってきたウルトラマン マットアロー1号発進命令』(1983年)では、若さあふれる監督本人がウルトラマン役をこなしながら、学生が作ったとは信じられないクオリティとこだわりで、見応えのある特撮作品を完成させてしまっている。

 その頃からすでに、電信柱を見上げる構図や、手持ちカメラを使った躍動的なショット、室内でも極端なカメラアングルを多用するなど、『新世紀エヴァンゲリオン』や『シン・ゴジラ』に繋がるような演出のあれこれを見つけることができる。そして、それは低予算の特撮作品がスケール感を醸成するためのものだったことも理解できるのだ。

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