『IWGP』制作も手がける動画工房、地力の源泉は育成にあり? 幅広い活動とその歴史を振り返る

 過日、石田衣良原作の小説『池袋ウエストゲートパーク(IWGP)』のアニメ化が発表された。90年代後半に刊行され、2000年代を代表する青春小説であり、かつて宮藤官九郎の脚本によってTVドラマ化され人気を博したこのシリーズが再び脚光を浴びることとなった。

 池袋を舞台に、マイノリティにスポットを宛てたこの作品が、社会の階層化がゼロ年代よりも一層進んだ2020年にどのように描かれるのか、ファンならずとも興味深いところだ。このIWGPのアニメ化を請け負うのは動画工房という制作会社だ。IWGPがアニメ化されること自体に驚いた人も多かったが、それを動画工房が手掛けることに驚いた人も少なからずいたようだ。

 動画工房といえば、『ゆるゆり』や『GJ部!』、『NEW GAME!』など美少女キャラクターのゆるい日常を描いた、いわゆる「日常もの」で有名な会社だ。売春や殺人、麻薬や抗争などハードな内容のIWGPと動画工房の得意としてきた作風とはイメージが異なる点に驚きの源泉があったようだ。

 しかし、動画工房は長い歴史を持つ老舗のアニメーション制作会社であり、その確かな実力によってアニメファンの支持を獲得してきた会社だ。沿革を紐解けば様々なタイプの作品に携わり、確かな評価を得てきた会社であることがわかる。そんな動画工房の魅力について書いてみたい。

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