フェイズ4発表でさらに加速するMCUの熱狂 杉山すぴ豊のサンディエゴ・コミコン現地レポート

 さて今回の発表で、僕が興味深かったのは、

●『エターナルズ』『シャン・チー』『ドクター・ストレンジ』『ソー:ラブ&サンダー』『ブラック・ウィドウ』だけが劇場公開で、それ以外はディズニーが立ち上げる配信サービス・Disney+でのドラマ・シリーズなのです。今までマーベル・スタジオは映画とTVドラマ・シリーズ『エージェント・オブ・シールド』やNetflixの『デアデビル』などを一緒の場でプレゼンしたことはありません。実はこれらの作品はマーベル・スタジオではなくマーベルのTV部門が主体となって製作されているのです。しかしDisney+のドラマ群はマーベル・スタジオの製作であり、完全にMCU映画と連動した作品になるということでしょう。例えば『ドクター・ストレンジ』の映画にワンダが出るということは、ドラマ『ワンダヴィジ
ョン』と本作はリンクするのではないでしょうか。

●ダイバーシティや女性を意識した作品が増えそうです。例えば『エターナルズ』にはサルマ・ハエックがエターナルズのリーダー、アジャックスを演じると発表されましたが、コミックではこのキャラは本来、男性です。さらに『ブラックパンサー』で黒人層をとりこむことに成功したので、今度は『シャン・チー』でアジア系アメリカ人をターゲットにしています。実際本作には『クレイジー・リッチ!』のオークワフィナも出演します。

●サプライズ中のサプライズだったのはマハーシャラ・アリの『ブレイド』です。この作品はフェイズ5(2022年以降)の作品と言われていますが、本作の製作が発表されたことには(恐らく)2つの意味があって、

1.『ブレイド』はもともとR指定の内容なので、ついにMCUもR指定映画に解禁? そうなるとMCU版『デッドプール』の可能性もあり?

2.マハーシャラ・アリはNetflixの『ルーク・ケイジ』に別の役で出演している。一つの世界観で、同じ役者が違う役を演じることは考えづらいので、改めてフェイズ4はNetflixのマーベル物とは一線を引いたものになる、ということかもしれません。

●ケヴィン・ファイギが『ブラックパンサー2』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー3』らの作品の名前をあげる際、「今日はミュータントについて語る時間がなくて」と言ったのです。あえてX-MENという言葉を使わなかったのです。そうなるといきなりMCUにX-MENが登場するというより、まずミュータントという存在をMCUにちりばめる戦略なのかもしれません(フェイズ3までのMCUにはミュータントという概念自体がないので)。

 というわけでフェイズ4の全貌が見えてきたところで、逆にどうなるんだろう? と謎と期待がふくらみました。

 しかし『アベンジャーズ/エンドゲーム』でMCUロスとなっていましたが、この発表でまた元気になりました。MCUはこれからもますます、僕らを楽しみませてくれそうです!

■杉山すぴ豊(すぎやま すぴ ゆたか)
アメキャラ系ライターの肩書でアメコミ映画に関するコラム等を『スクリーン』誌、『DVD&動画配信でーた』誌、劇場パンフレット等で担当。サンディエゴ・コミコンにも毎夏参加。現地から日本のニュース・サイトへのレポートも手掛ける。東京コミコンにてスタン・リーが登壇したスパイダーマンのステージのMCもつとめた。エマ・ストーンに「あなた日本のスパイダーマンね」と言われたことが自慢。現在発売中の「アメコミ・フロント・ライン」の執筆にも参加。Twitter

■リリース情報
『アベンジャーズ/エンドゲーム』
9月4日(水)発売
8月7日(水)先行デジタル配信開始
『アベンジャーズ/エンドゲーム MovieNEX』:4,200円+税
『アベンジャーズ/エンドゲーム 4K UHD MovieNEX』:8,000円+税
『アベンジャーズ/エンドゲーム 4K UHD MovieNEXプレミアムBOX(数量限定)』:10,000円+税
『アベンジャーズ/エンドゲーム&インフィニティ・ウォー MovieNEXセット(数量限定)』:8,400円+税
『アベンジャーズ:4ムービー・アッセンブル(数量限定)』:13,200円+税
(c)2019 MARVEL

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