『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』はScreenXと相性抜群! ワイドな視界が生む効果
270度の視界でヨーロッパの名スポットが堪能できる
『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』で描かれるのは、『エンドゲーム』後の世界だ。サノスを倒し、消えた世界の半分の人々を取り戻したが、代わりにヒーローたちを喪失した世界。取り戻した日常の中で、スパイダーマンことピーター・パーカー少年がその喪失と向き合い、ヒーローを継承する責任に直面し、葛藤する姿を描いている。等身大の高校生であるピーターの青春映画としても秀逸で、『スパイダーマン』シリーズらしいコミカルなシーンも豊富、ヒーローたちが取り戻してくれた日常が、かけがえのないものであることを実感させてくれる。
今回の主な舞台は、お馴染みのニューヨークではなく、ヨーロッパの都市だ。高層ビルがひしめく摩天楼の空中をさっそうと飛び回る代わりに、ヴェネチアやプラハ、ベルリンにロンドンなどヨーロッパの都市をスパイダーマンが駆け巡る。
ヨーロッパの都市が舞台である、というのは実は『スパイダーマン』シリーズにとって大きなハンデだ。上下左右、縦横無尽に飛び回るスパイダーマンのアクションは、高低差の激しい高層ビル群でこそ最も映えるからだ。今回の舞台となった都市は、ニューヨークほど高い建物が多くない。しかし、そんなハンデをScreenXが補ってくれた。
具体的には、高い建物が少なく上下の動きがやりづらい分、両サイドのスクリーンを使って、左右への開放感を高めることでアクションの迫力を補うことを可能にしていた。スパイダーウェブを使って飛び上がった時も、空を広く映せるという大きな利点があり、観ていて本当に空に飛び上がったような飛翔感を感じた。
また、ヴェネチアやロンドンの有名スポットを270度の視界全体で堪能できるのも良い。今作の物語は、ピーターたちが夏休みを利用してヨーロッパ旅行に出かけるという筋書きのため、観光映画の側面もあるのだが、各都市の観光スポットを視界全体で楽しめる分、旅行気分も高まる。例えば、ゴンドラに乗ってヴェネチアの運河を進むシーンでは、船に乗った人の目線にカメラが据えられ、本当にヴェネチアの運河にいるような気分になれてしまう。ScreenXで製作される作品はハリウッドの大作が多いが、都市や世界遺産、それから美術館のドキュメンタリー作品などにも向いているかもしれない。