向井理の一言に話題騒然 『わたし、定時で帰ります。』は“当たり前”を再認識させるドラマに

『わた定』は“当たり前”を再認識させるドラマに

 だからこそ、『わたし、定時で帰ります。』というドラマが今、必要だったのだ。本当の働き方改革とは、それぞれが「どんな気持ちで働いているか」に興味を持つこと。そして、個々人の「幸せ」を理解し、それをお互いに実現できるように協力し合うということ。

 寝食を忘れるほど好きな仕事に没頭することも、ひとつの「幸せ」。「やるべきことをやって帰る」という毎日を淡々をこなし、行きつけのお店でビールを嗜むのも、ひとつの「幸せ」。もちろんがむしゃらにお金を稼ぐことも、家族との時間を守ることも。大事なのは、1人ひとりが自分のベストを尽くしながら、無理なく働き続けられるように調整していける「裁量」。そして、一緒に働く仲間の「理解」であり、全員が同じ条件で働くことを縛るルールではない。

 人生の大半を占める労働時間。その時間を、誰かの敷いたレールに乗りっぱなしではなく、自分で納得して過ごす。それこそが、自分の人生を生きるということ。「何のために働いているのか(目的)」「この頑張り方で合っているのか(手段)」を自問自答しながら進んでいく。そのお手本を、このドラマが示してくれたのだ。

 ちなみに、「あなたは何のために働いていますか?」の答えを筆者も考えてみた。給与はたくさんもらえたほうがいい。だが、興味のない職種でなければ続かない。もちろん、信頼できる人とじゃなければ楽しくない。とはいえ、仕事ばかりじゃ人生面白くない……と煩悩をまとめた結果、「人生の思い出を作るため」という考えに行き着いた。

 

 気の合う人たちと、ワクワクするような仕事に、全力で取り組む。そうして得たお金を、大事な人とおいしいものを食べ、好きな場所でリフレッシュするために使い、そしてまたいい仕事を目指していく。その繰り返しが、やがてかけがえのない思い出となり、いつか振り返ったときに「悪くない人生だった」と思えるような気がするからだ。そして、そんな自分の人生に寄り添って欲しい人に「一緒に住もうって言ってんの」と言えるのもまた、働いていればこそ。

 さて、あなたの「働く理由」は何だろうか。あなたの愛する人は? 友だちは? 隣の席の人は? 後輩は? 上司は? 親は?……ドラマ『わたし、定時で帰ります。』を見た全ての人が、そんなふうに周囲と「働く」について語らい、より柔軟に考えられるようになったら。10年後、20年後に、「こんな誰もが働き方を模索していたドラマがあったなんて!」と驚かれるような、ホワイトな時代がやってくるかもしれない。

(文=佐藤結衣)

■放送情報
火曜ドラマ『わたし、定時で帰ります。』
原作:朱野帰子『わたし、定時で帰ります。』シリーズ(新潮社刊)
出演:吉高由里子、向井理、中丸雄一、柄本時生、泉澤祐希、シシド・カフカ、内田有紀、ユースケ・サンタマリアほか
脚本:奥寺佐渡子、清水友佳子
演出:金子文紀、竹村謙太郎
プロデューサー:新井順子、八尾香澄
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/watatei/

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