『コンフィデンスマンJP』インタビュー

【ネタバレあり】古沢良太が語る『コンフィデンスマンJP』の裏側 「都合の良い嘘の方を人は信じる」

「ダー子は何者にもとらわれてない人」

ーー実は『ロマンス編』を見て一番感動したのが、裏切っていたモナコ(織田梨沙)をダー子があっさり許して仲間に入れちゃうところなんですよ。テレビシリーズでも、逃げ遅れた敵の一人を仲間に引き込んでいましたが、裏切った人間を許容しちゃうところが凄いですね。

古沢:ダー子は何者にもとらわれてない人にしたかったんです。ターゲットの赤星さんたちのこともダー子は大好きですからね。恨みとか憎しみよりも、好きだからいっしょに楽しみたくて騙しているところがありますから。

ーー映画の最後に、本物の氷姫が出てきますね。

古沢:氷姫という存在まで嘘だと思われるとおかしなことになるので、実物はちゃんと示した方がいいんじゃないかということで書きました。香港に行った時に掃除している、おばちゃんがいっぱいいたので、そこから着想しました。

ーー劇中で眼帯しているおばちゃんが何度か写りますね。

古沢:眼帯は監督のアイデアで、目に宝石が入っているのも監督が考えました。

ーー彼女はこの世界では、圧倒的な権力を持った存在という感じですか?

古沢:どうなんでしょうねぇ。どういう人かわからないですけど……。印象に残る出し方をしてくれたと思います。

ーージェシーはとても魅力的でしたね。最後の情けない姿も含めてよかったです。

古沢:すばらしかったですよねぇ、三浦春馬さん。最後はひたすら情けないので、あまり良い役じゃないから申し訳ないと思ってたんですけど、観たらすごく魅力的でした。最後のシーンは三浦さんが「ボコボコに蹴られたい」と提案されて。

ーーあそこまでいくと、見ていて気持ちいいですよね。ジェシー、どこかでまた出てきてほしいですね。彼単体のスピンオフも見てみたいです。

古沢:いいですね。「恋愛詐欺師ジェシー」みたいな感じで(笑)。

ーーダー子とジェシーの過去が出てきますが、本当に恋愛関係だったんですか?

古沢:二人とも詐欺師なので普通の恋愛は超越していて、僕らが考えている恋愛とは違う関係の愛情をお互い持っていると思います。でも、ジェシーはダー子にコケにされたと思ってるところはあるでしょうね。ジェシーは本気で愛してたのではないでしょうか。

ーー映画でダー子が悩んでいる表情が印象的だったので、本当の気持ちはどうだったのかなぁと思いました。

古沢:ダー子は憑依型です。騙してるという自覚なしでやっていると思います。恋人だと思ったら本当に愛するのではないでしょうか。

ーー自覚がないんですね。一番厄介だ(笑)。他の場面でもそうなんですか?

古沢:『ブラックジャック』を読んだら外科手術できると思いこむ人ですから。偽物と本物という概念がない人ですね。

(取材・文=成馬零一/写真=大和田茉椰)

■公開情報
『コンフィデンスマンJP』
全国公開中
監督:田中亮
脚本:古沢良太
出演:長澤まさみ、東出昌大、小手伸也、小日向文世、織田梨沙、瀧川英次、Michael Keida 、前田敦子、佐津川愛美、岡田義徳、桜井ユキ、生瀬勝久、山口紗弥加、小池徹平、佐藤隆太、吉瀬美智子、石黒賢、竹内結子、三浦春馬、江口洋介
音楽:fox capture plan
主題歌:Official髭男dism「Pretender」
配給:東宝
製作:フジテレビ・東宝・FNS27社
(c)2019「コンフィデンスマンJP」製作委員会
公式サイト:https://confidenceman-movie.com/
公式Twitter:https://twitter.com/confidencemanJP

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