『なつぞら』草刈正雄演じる泰樹のあまりに厳しい一言 “自分勝手”ななつは家族とどう向き合う?
「お前の顔はもう二度と見たくない」
泰樹(草刈正雄)がなつ(広瀬すず)に放った言葉はあまりにも厳しいものだった。ただ、彼の性分を考えれば、あるいはこれが泰樹としての精一杯の表現だったのかもしれない。
「なつが本当に望むことなら誰も反対はしない。じいちゃんだって本当はそうなんだ」とは後に剛男(藤木直人)が言ったことであるが、きっとその通りであろう。なつには自分の人生をしっかりと謳歌してほしい、泰樹なら心の奥底ではそう思っているはずなのだ。なつとしては、農業高校まで通わせてもらったとして、今すぐに柴田家を出るというわけにはいかないという様子だった。しかし、泰樹からしてみればそんな“気づかい”は、むしろ彼にとって、何とも言えない苛立ちを生む原因になっていたのだろう。
その後なつは「申し訳なくていられない」という理由で、柴田家を出ていこうと荷物をまとめようとするのだった。ところが、そんな「申し訳ない」という思いを抱えているなつに、富士子(松嶋菜々子)はビンタをする。
「申し訳ないなんて言われるくらいなら憎まれたほうが、よっぽどましだわ。一人で苦しみたいなら、家族はいらないっしょ」