松岡茉優、川栄李奈、伊藤健太郎……若手俳優がアニメ声優に挑戦する意義とは?

若手俳優がアニメ声優に挑戦する意義

(c)2019「きみと、波にのれたら」製作委員会

 この魅力的なコンビを支えるのが、伊藤健太郎と松本穂香の二人だ。話題作への参加が続々と発表される二人だが、本作への参加もまた、自身たちのキャリアの中で重要な一作と言えそうである。伊藤が扮するのは、片寄扮する消防士の後輩であり、松本はその消防士の妹役だ。この二人の役どころは、脇役として、ときに作品のスパイスとなることでもあるだろう。声のキャラクター性で世界観を構築する片寄と、巧みな話芸で物語の舵を切る川栄を、あくまで控えめに支えるかたちで、二人はその役割を担っている。実写の映画やドラマでのときと同じく、作品内での自身の立ち位置を上手くコントロール、自制している印象があった。それも、“声だけで”だというのだから、さすがである。

 今後はそのほか、芦田愛菜が主演声優を務め、『リメンバー・ミー』(2018年)で主人公の吹き替えを担当した石橋陽彩が参戦している『海獣の子供』が公開。さらに、『君の名は。』(2016)の新海誠監督による最新作『天気の子』が続き、こちらでは醍醐虎汰朗と森七菜が声だけの演技に初挑戦している。まだ若い二人とあって、これはかなり大きな一歩となりそうだ。

 身体を伴った表現を封じられた「声優」という仕事で、若手俳優陣が超えるべきハードルは決して低くはないはずである。しかし、そこで経験する声だけでの表現の鍛錬は、必ずや俳優活動にも反映されていくのだろう。

■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。Twitter

■公開情報
『バースデー・ワンダーランド』
全国公開中
監督:原恵一
出演:松岡茉優、杏、麻生久美子、東山奈央、藤原啓治、矢島晶子、市村正親
原作:柏葉幸子『地下室からのふしぎな旅』(講談社青い鳥文庫)
脚本:丸尾みほ
キャラクター/ビジュアル:イリヤ・クブシノブ
音楽:富貴晴美
テーマソング:milet「THE SHOW」(SME Records)
イメージソング・挿入歌:milet「Wonderland」(SME Records)
アニメーション制作:SIGNAL.MD
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/birthdaywonderland/

『きみと、波にのれたら』
6月21日(金)全国ロードショー
監督:湯浅政明
脚本:吉田玲子
音楽:大島ミチル
出演:片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)、川栄李奈、松本穂香、伊藤健太郎
アニメーション制作:サイエンスSARU
配給:東宝
(c)2019「きみと、波にのれたら」製作委員会
公式サイト:https://kimi-nami.com/

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