森七菜、『3年A組』で一躍ブレイク 『東京喰種2』『天気の子』話題作にも出演するその魅力とは

 このドラマが始まる直前、出演する若手俳優たちを紹介する記事の中でも、彼女の名前をピックアップしたわけだが、ほぼ100%と言っていいほどの確率で森七菜はこの先数年間の若手女優界のトップを走る逸材である。2016年に行定勲がメガホンをとったWeb CMをきっかけに芸能界入りをした彼女は、オーディションを経て園子温監督の『東京ヴァンパイアホテル』に出演。吉高由里子、満島ひかり、安藤サクラ、二階堂ふみ、清野菜名と、園監督に見出された女優のその後の活躍ぶりはあえて説明する必要もないだろう。

 そして実写版『心が叫びたがってるんだ。』や、櫻井翔主演の『先に生まれただけの僕』、重要な生徒役を演じた昨年のNHKドラマ『やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる』に、昨年秋クールに大きな話題を博した『獣になれない私たち』と着実に経験を積みあげてきた森。彼女の存在が2019年に“発見”されることは、昨年末に『君の名は。』の新海誠監督の最新作『天気の子』のヒロイン役に抜擢された時点から決まっていたことであろう。その制作発表会見の場で新海監督は、森の魅力について新作の内容と絡めながらこう語っていた。「捉えどころのない天気のような子。予想がつかないし、目が離せなくなる」。

 その言葉通り、正直なところどんな役ができる女優で、その強みはどのように活かされるのか、まだまだ未知な部分だらけである。だが『3年A組』で繰り出した前半と後半での空気感の変化や、堂々とした表現力の強さを目の当たりにすると、その“未知さ”がとても楽しみになってくる。多くの実績を持つ監督たちを惹きつけるのも、そういった部分であろう。奇しくも『天気の子』と同じ日に公開される『東京喰種2』を皮切りに、秋公開の『地獄少女』、そして岩井俊二監督の最新作『Last Letter』と映画出演が続くだけに、スクリーン上で彼女の女優としてのスケール感がさらに拡がるのかどうか注目したい。いずれにしても、常套句ではなく文字通りの意味で“目が離せない”女優が久々に現れたのだ。

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■公開情報
『東京喰種 トーキョーグール2(仮)』
7月19日(金)全国公開
原作:石田スイ『東京喰種 トーキョーグール』(集英社『ヤングジャンプ』連載)
出演:窪田正孝、山本舞香、松田翔太ほか
配給:松竹
(c)石田スイ/集英社 (c)2019「東京喰種 トーキョーグール2」製作委員会
公式サイト:http://tokyoghoul.jp/
公式Twitter:https://twitter.com/tkg_movie
公式Instagram:https://www.instagram.com/tkg_movie/

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