年末企画:藤津亮太の「2018年ベストアニメTOP10」 キーワードは「2人の女の子」

 先日、少年のプリキュアが登場して話題となった『HUGっと!プリキュア』だが、中盤の盛り上げたのは、アンドロイド・ルールーと、少女愛崎えみるが友情を育み、お互いを想う気持ちの奇跡によって、2人でプリキュアになるというエピソードだった。

 伝説的な原作に正面から挑んだ『DEVILMANcrybaby』は、ヒロイン美樹を描くにあたり、美樹の同級生にミーコという少女を設定。ミーコの美樹に対する嫉妬と劣等感を描きつつ、2人が心を通わせる瞬間を物語のクライマックスのひとつに設定した。

 意外なところでは『ゲゲゲの鬼太郎』(第6期)でも、女の子2人の関係はポイントになっている。本作には、第5期以上にヒロイン性を強化されたモデル頭身の猫娘と、第3期の夢子に通じる役割を担う人間側のヒロイン・犬山まなという2人のヒロインが設定される。まなは猫娘を「ネコ姉さん」と慕い、SNSでよくメッセージをやりとりしている。時代の空気を見ながら味付けを変えてきた『ゲゲゲの鬼太郎』の第6期の特徴のひとつになっている。

 現代性という点では『ゆるキャン△』の、志摩リンと各務原なでしこの関係もとても現代的だ。『ゆるキャン△』は女子高生がキャンプをまったりと楽しむ様子を描く作品。リンはひとりでキャンプをするのが好きで、なでしこは「野外活動サークル(野クル)」のメンバーとともにアウトドアを楽しむ。でもこの2人はとてもこまめにスマフォで写真やメッセージをやりとりする。そうして、自分の見た驚きや感動や笑ってしまいそうという気持ちを共有するのである。2人は「離れていても繋がっている」。そこがとても現代的な関係性の2人だった。

■藤津亮太
1968年生まれ。アニメ評論家。著書に『「アニメ評論家」宣言』(扶桑社)、『チャンネルはいつもアニメ』(NTT出版)、『声優語』(一迅社)がある。アニメ!アニメ!にて アニメ時評「アニメの門V」を連載中。Twitter

■公開情報
『若おかみは小学生!』
全国順次公開中
監督:高坂希太郎
原作:令丈ヒロ子
脚本:吉田玲子
出演:小林星蘭、水樹奈々、松田颯水、遠藤璃菜、小桜エツコ、一龍斎春水、一龍斎貞友、てらそままさき、薬丸裕英、鈴木杏樹、設楽統、小松未可子、ホラン千秋、山寺宏一、折笠富美子、田中誠人
配給:ギャガ
(c)令丈ヒロ子・亜沙美・講談社/若おかみは小学生!製作委員会
公式サイト:https://www.madhouse.co.jp/wakaokami/movie/

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