岡田将生に変貌のとき訪れる? 20代最後の年に『昭和元禄落語心中』で“深みある大人の役者“へ
第1回から注目を集めているNHKドラマ10『昭和元禄落語心中』が終盤に入った。1月期放送の『女子的生活』、7月期放送の『透明なゆりかご』など、安定して評価の高い枠だが、その評価も主役がハマってこそであり、今回の『昭和元禄落語心中』で老け役に挑戦した岡田将生も、また一段と役者としての深みを増したと知らしめている。
2006年に俳優デビューした岡田がその存在を広めたのは、翌年出演した映画『天然コケッコー』だろう。まさに少女漫画から抜け出たような美少年ぶりに、かっこいいというよりも美しいという言葉がよく似合った。
そして映画『僕の初恋をキミに捧ぐ』や、ドラマ『花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス』などで強みである美しい外見を生かしていったが、岡田は一方で挑戦的な役柄にもチャレンジしていく。いずれも原作小説も人気の、『重力ピエロ』では複雑な内面を抱えた青年、『告白』では空気の読めない教師、『悪人』では文字通りの嫌な大学生と、ひとときも安住せずに進み、その後もテレビ、映画を問わず、その容姿だからこそ成立させうる役柄から、その容姿だからなお裏切りが強烈となる役柄などでキャリアを重ねていった。
そんな甘えを断ち切る強さと野心を感じさせる歩みの結果を、近年の演技が証明していく。もともとの個性を突き詰めたといえるドラマ『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)での主人公にも、ただのほわりとしたキャラクターだけではない説得力を持たせ、視聴者を魅了。長谷川博己や香川照之らとぶつかりあった『小さな巨人』では、鼻水やつばを飛ばすこともいとわぬ魂のこもった演技を見せた。
今年のはじめに公開され、見た目はいいが、人の気持ちを考えられないイタイ主人公・伊藤くんを、素ではないか? と思わせるほど、自然に演じきった『伊藤くん A to E』からもその成長ぶりが伝わる。