人が本当に死ぬ瞬間はいつ? 『A GHOST STORY』デヴィッド・ロウリー監督に聞く
ーーこの作品の中では美しく広大な景色がたくさん出てきますが、どこか悲しみを含んでいるように感じました。
ロウリー:新しい映画を撮る度に、明るくて楽しい作品にしようとしているんだけど、なぜか作品を観た人には、メランコリックな雰囲気の映画だ、と言われることが多いんだよね。僕自身も、自分のことを明るい人間だと思っているんだけど(笑)。もしかしたら、自分でも気づかないうちに、自然にそういったものに惹かれてしまうのかもしれないな。それが作品に反映されているんだと思う。
ーーあなたは「『ピートと秘密の友達』で学んだことをもっと小さなスケールで試したかった」と言っていましたが、学んだこと、そして『A GHOST STORY』にも反映したことがあれば教えてください。
ロウリー:どんな作品でも、映画を作るときは、自分自身のことや新しい手法・技術について学んでいると感じるよ。『ピートと秘密の友達』でも、それを感じた。僕はいつも、自分の直感に導かれるように映画を作るようにしているんだけど、それを大きなスケールで実践できたという意味では、とても学びがあった作品だと言えるね。今回も同じく、自分の直感に耳を傾けて、スケールに拘らずに映画作りができたと思う。もしかしたら、映画がメランコリックな作品になるのは、その直感のせいかもしれないね。
ーー本作において、「死」は切り離せないテーマです。「死」は、肉体が魂から離れるときや、人の記憶から消えてしまったときなど色んな考えがありますが、あなたはどう思っていますか?
ロウリー:僕自身は、本当の「死」というのは人の記憶から消えてしまったときだと思っている。僕が育った家庭はとても信仰深い家だったんだけど、僕自身はあまり信仰深い方ではなくてね。信仰というものに対しての考えや信仰そのものを大切にしているという訳ではないんだけど、ただ、魂が肉体を離れたときに起こる何か、その先にある何か、というのは信じている。エゴのようにも思われるかもしれないけど、この映画では、「死」を乗り越えたその先にある何かを描いてみようと思ったんだ。
(取材・文=阿部桜子)
■公開情報
『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』
公開中
監督:デヴィッド・ロウリー
出演:ケイシー・アフレック、ルーニー・マーラ
配給:パルコ
(c)2017 Scared Sheetless, LLC. All Rights Reserved.
公式サイト:http://www.ags-movie.jp/