田中圭またもスマホ落とす 『獣になれない私たち』“寝る”より悲しいキスのダメージ

 最初に断っておくが、浮気・不倫には被害者が必ずいるため、肯定はできない。しかし、本作の展開を見ていると、心が弱ったゆえのいわゆる“魔が差した”行為というのは、誰にでも起こりうる可能性を孕んでいるのではないかと考えさせられる。現に、晶と京谷のなれ初めは“浮気”と言っても過言ではない。朱里を追い出せないのも、彼女がいる状態で晶と付き合うことを決めた京谷にまだ罪悪感が残っているからなわけで、京谷は浮気をしたことを朱里のせいにしようとする場面があったが、京谷が怒りの矛先を自分ではなくまだ他者に向けようとしているのはあまりにも哀れすぎる。

 また今回特に印象的だったのが、京谷の浮気を聞いて、京谷がキスをしていたか晶は気にしていたところ。「寝た」と言われるとあまりにも異次元すぎて実感がわかないが、「キスをした」と言われるとその手軽さゆえか変にリアリティーが生まれ、さらに傷をえぐられる感覚が生まれるのは凄くわかる。だからこそ、晶と恒星がキスをするかしないかのラストシーンは、京谷を傷つけられるかの晶の覚悟のゆらぎが上手く浮き彫りになっていた。

 余談だが、松田が新垣の肩にかけた腕や、首筋へのキスがあまりにも色っぽく、放送が延長して逆に良かったと思わされる。それにしても「最中で寝る男」がこんな形でまた登場するとは、野木の伏線の上手さには、なんだか分からないけれども、頬が赤らむような興奮を覚えた。

 次回予告で少し流れていたが、ついに対面した朱里は晶に、「あなたが持ってる色んな物をわたし何にも持ってない」と泣き叫んでいた。あまりにも多すぎる業務や、京谷のダメっぷり、そして本音を言えなくした暗い過去を持つ晶には応援したくなる気持ちを掻き立てられたが、一部視聴者から出ていた「晶は被害者のようだが、それなりに酷いことをしている」という点に次回はスポットライトが当たりそうな予感。回が増え、季節が冬に向かうとともに波乱の展開が待ち受けていそうだが、今回は浮気とスマートフォンは怖いと改めて感じさせられる回だった。

(文=阿部桜子)

■放送情報
『獣になれない私たち』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜放送
出演:新垣結衣、松田龍平、田中圭、黒木華、菊地凛子、田中美佐子、松尾貴史、山内圭哉、犬飼貴丈、伊藤沙莉、近藤公園、一ノ瀬ワタル
脚本:野木亜紀子
演出:水田伸生
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:松本京子、大塚英治
協力プロデューサー:鈴木亜希乃
制作会社:ケイファクトリー
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/kemonare/

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