高橋一生、『僕らは奇跡でできている』で演じた“変わり者”の生き方 「気づきを得るのは周囲の人々」
「一輝は“僕でしかいられない”ことに諦めも希望も持っている」
ーー高橋さん演じる相河一輝は、生物の不思議に目のない大学講師という役柄です。
高橋:僕もすぐに没入してしまうので、相河一輝という人を役として見られないというか。元々、役を作っていくこと自体あまりしないのですが、今回も同じです。このドラマは、一輝の生態のようなものをみなさんに見ていただき、何かを感じてもらえる作品だと思うので、僕も「自分もこういうところあるかも」と楽しみながら演じています。
ーー先ほどジョージの話もありましたが、高橋さんも生き物に興味が?
高橋:そうですね。NHKの『人類誕生』という番組でナビゲーターを務めたのですが、それもとても楽しくて。ただ、そういう自分と地続きな部分や自分の楽しみを役に投影し過ぎてしまうと、一輝ではなく僕になってしまうので(笑)。そのバランスは意識しています。
ーー一方で、一輝は何かに没入し過ぎるがあまり、空気を読めずに周りを苛立たせることもあって。
高橋:僕だけは一輝がどんなに周りをイライラさせようと、好きでいなくてはいけないと思っています。自分だけは庇ってあげられる人間にしていくことは、芝居の面白さでもあって。その勝手さに、可愛らしさや愛嬌があるんだと思うんです。ある人にはものすごくイライラして見えるけれど、ある人にはとても豊かな人生を送っているように見えるというか。
ーー高橋さんから見た一輝はどんな人物ですか?
高橋:一輝は人の言うことを聞いていないこともあるんですが(笑)、基本的に全部耳に入っていて、その上で取捨選択しているんだと思います。自分にとって必要な言葉とそうでない言葉の区分けが早いし、曖昧になっている部分を即時に判断して、自分に必要なものだけを取り入れている感覚がある。一輝は人との距離感は常に考えているし、トライ&エラーが早いです。エラーすると次はどうしたらいいか考え、それに集中しすぎてしまうと他のものが疎かになったり。それだけ意識がひとつに向いていて、真面目に生きている人間だと思います。そこは僕としても見習いたい部分です。すごく集中して、すごく力を抜いて、自分の好きなことに没頭する一輝の生き方は、ひとつの生き方として正解だと思います。
ーー一輝はドラマの主人公として、不思議な魅力のある人ですよね。
高橋:そうだと思います。一輝は、他者と自分の違いを誰よりも意識してきた人間で。けれど、それでも僕でしかいられない、ということに諦めも希望も持っている。主人公だから何か特殊だとかではなく、どこにでもいるんだけれど、考え方が何者にもぶれさせられない人間。みんな、誰かに“共感する”という感覚を持っていると思うんですが、一輝は常に自分と共感しあっているんです。そういう一輝を追うことに、今は僕が夢中になっています。
(取材・文=若田悠希)
■放送情報
『僕らは奇跡でできている』
カンテレ・フジテレビ系にて10月9日(火)スタート 毎週火曜21:00~21:54放送
出演:高橋一生、榮倉奈々、要潤、児嶋一哉、田中泯、戸田恵子、小林薫
脚本:橋部敦子
音楽:兼松衆、田渕夏海、中村巴奈重、櫻井美希
演出:河野圭太(共同テレビ)、星野和成(メディアミックス・ジャパン)
プロデューサー:豊福陽子(カンテレ) 、千葉行利(ケイファクトリー)、宮川晶(ケイファクトリー)
制作協力:ケイファクトリー
制作著作:カンテレ
(c)関西テレビ
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