綾瀬はるかと佐藤健の物語はどう築かれていく? 『義母と娘のブルース』第1章から第2章へ

 竹野内豊のいない『義母と娘のブルース』(TBS系)第2章は、第1章とはまた違った暖かさに溢れていた。第1章の終わりに白に染まった世界は、白に包まれた妻・亜希子(綾瀬はるか)を眺めていた夫・良一(竹野内豊)のみに白の衣装を纏わせ、一度黒に染まってしまった。だが、まるで“陽だまりのような人”良一そのもののような温かい太陽の光に見守られ、義母と娘は、小さな奇跡を探しながら、互いのことを敬い、思い合いながら生きてきたのだろう。

 上白石萌歌演じる9年後のみゆきを取り巻く世界はガラリと変わった。ロボットのようにカチカチと動く元バリバリのキャリアウーマンの義母・亜希子は、水道の蛇口を閉め忘れたかのように噴き出して止まらない涙によって人間性を取り戻し、柔らかな表情を浮かべている。デブキャラだった同級生の大樹(大智)は9年間のうちにどこかに肉を置いてきて、井之脇海演じる好青年に代わった。小学生の頃、奇跡探しを手伝っていた彼は、陰ながらみゆきのために何度も“奇跡”を作りだす。

 一方、大樹と違って天然の産物ではあるが、第1章において奇跡を巻き起こしていた、佐藤健演じる章はというと、亜希子と共に、パン屋で奮闘している。第5話において、霊柩車のドライバーだった章は、珍しく何の奇跡も起こさなかった。だが、今思えば1つの奇跡は起きていたのである。宮本家においてではなく、その奇跡は、章自身に降りかかっていたのだ。第6話において、良一を乗せた霊柩車を運搬していた章は、火葬場で泣いている亜希子とみゆきを見て言う。

「あの子、もう親孝行できないんだよなあ。俺、家帰ります」

 この事がきっかけで章は、あてどない自分探しの旅をやめ、実家のパン屋に戻り、家業を継ごうと判断したのだろう。第2話で亜希子が会社を退職し専業主婦になることを決意した時、良一が「奇跡ですね、たった1日で33年間が変わってしまう」と言っていたように、たった1日、まだ見も知らぬ、事情も知らない親子の姿を見たことで、章の人生は大きく転換したのである。

 そして9年後、面識のないうちに人生を変えた母子、特に亜希子が、章の生き方を大きく変えようとしている。「ここも俺の輝ける場所じゃなかった、だからやめる」という自分探しの若者によくありそうな台詞に対して、亜希子は「“だからやめる”が最大の要因」と一喝する。

 だが、そんな章の気さくさと優しさに、亜希子もまた救われることになる。みゆきが亜希子を思うがゆえに抱いていた劣等感に対して、章は自分が父親に対して感じている思いを重ね、「血が繋がってない」から起きたのではなく血が繋がっていても起こりうることなのだと安心させるのである。

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