『高崎グラフィティ。』インタビュー
佐藤玲×萩原利久『高崎グラフィティ。』対談 「分かっていて青春を送る人なんていない」
萩原「感じたことのない緊張感」
ーーオーディションから参加された萩原さんは、佐藤さんや川島監督をはじめとする立ち上げ当初から携わっている初期メンバーに加わる、という形でしたが、現場の雰囲気はどう感じましたか?
萩原利久(以下、萩原):オーディションの段階から佐藤さんが参加してくださったり、川島さんもその場で演出してくださったりと、要所要所でものづくりに対する熱を感じました。この作品の制作が始まったプロセスを知って、川島監督の作品に対する膨大な熱量をどうにか僕自身もうまく引き継いで作品に入りたいなと意識しました。特に、佐藤さんと僕を含め、岡野真也さん、中島広稀さん、三河悠冴さんという5人が演じる役に対する川島監督の熱い想いを常々感じて、キャスト同士でもかなりディスカッションを重ねました。監督を含めこんなに距離感が近い現場はこれまでなかなかなかったので、すごく新鮮で楽しかったです。本読みする前にも、感じたことのない緊張感があって、今までの自分の中でも経験のない作品になったと思います。
ーー佐藤さんはこれまで経験してきた現場と比べていかがでしたか?
佐藤:企画の発案に参加していたこともあり、すごくプレッシャーがあって、緊張感や責任感をもっと持たなきゃいけないなとすごく構えていたときもありました。ただ、オーディションや本読みで役者さんたちと会ったときに、5人の居心地の良い雰囲気を感じて、安心してもっと委ねていいんだなと思ったんです。スタッフさんたちも若い方が多く、みんなで作っていくんだというところは学生映画みたいなところもあって楽しかったですし、ちゃんと大人のスタッフの方々にも支えていただいて枠組みもしっかりしていたので、5人の芝居も楽しくやろうということを念頭に置いて、演じることができました。
萩原「僕はやっぱりしっかり者」
ーー萩原さんは5人の空気感はいかがでしたか?
萩原:僕は5人の中では歳が下だから、ちょっと不安を感じてもいたんですけど、今考えるとそれは始まる前のほんの一瞬だけだったなと思います。本読みの段階から皆さんが寄り添ってくれましたし、年齢差を感じさせないようなコミュニケーションを取ってくれたので、不安もなく、芝居しているときは同級生としての感覚でいることができました。
ーー撮影現場ではそれぞれどんな存在だったのでしょう?
萩原:そうっすね、僕はやっぱりしっかり者というか……。
佐藤:よう言えたな、本当に(笑)。
萩原:いやでもほんと、しっかり(笑)。本来ならば、5人の中だと僕が気を遣うべきなんだろうけど、気を遣わずにいられるくらい皆さんが居心地良い雰囲気を作ってくれていました。だから、5人の中でどんな役回りって言われると、本当にただエネルギーを出していただけですね。目覚まし係です。朝が早かったので、僕はみんなの眠い目を開けるくらいしかできなくて。佐藤さんは初めから携わっているので、僕ら演じる側と、川島監督サイドと、いろんなものをつないでくれる、最もリーダー的な存在でした。
佐藤:利久くんは、キラキラ~っとした目で「小豆ミルク飲みましたー!?」「カフェカー来てたんですけど!」とか、「缶蹴りしません?」「人狼ゲームみんなでやろうよ!」と言ったりしているのが本当に微笑ましくて。自分の実年齢とギャップがある高校生を演じる上で、利久くんは「あっ、これが若いってことだ!」と何度も思い直させてくれました。ずっと5人でふざけていたのが本当に楽しくて、劇中で描かれている5人の関係性にもうまく乗っけることができたかなと思っています。