『セラヴィ!』オリヴィエ・ナカシュ監督が語る、人生の可笑しさと切なさ 「大事なのはユーモア」

『セラヴィ!』O・ナカシュ監督が語る

ーーおそらく、本作で誰もが笑ってしまうシーンが新郎が新婦のために行うサプライズのとある試みです。しかし、このシーンでは目の前で繰り広げられている“可笑しさ”とは反対に、その裏側では繊細な音楽が使用されています。この狙いは何だったのでしょうか?

ナカシュ:可笑しさと神妙さの両方を描きたいと思ったんだ。これは僕らにとっても賭けだった。ほかのシーンでは時速100キロ以上のスピード感で登場人物たちの会話が繰り広げられているイメージなんだが、あのシーンでは音楽によってグッとそのスピード感を抑えた。でも、シリアスにはしたくない。誰もが笑ってしまう可笑しさと、そこはかとなく漂う切なさ、そこに人生の豊かを垣間見てほしいと思った。本作のメインビジュアルにもなっているけど、登場人物たちはみんなが空を見上げていて、唯一この映画の中で誰も会話をしていないシーンなんだ。実際、撮影は本当に大変で、新郎のピエールを演じたバジャマン・ラヴェルヌはフランスで由緒ある劇団の俳優なんだけど、彼はこのシーンを実現するために、アクロバットのアーティストと1ヶ月も準備をしてくれた。だから、本番で成功したときに、彼を見上げている役者たちも本当に感動してくれた。その結果がこの全員の溢れんばかりの笑顔なんだ。

ーー音楽の効果も相まって、空を見上げている彼らがまるで夢の中に包まれているような、幻想的な雰囲気も感じました。

ナカシュ:そう感じてもらえてうれしいね。あの後に訪れる蝋燭の明かりと民族音楽による宴も、どこか浮世離れしているんだ。だからこそ、完全に夜が空けて太陽の光に照らされると、彼らはまた現実に戻される。そして、それぞれの人生がまた始まっていく。太陽による自然の光、結婚式をライトアップする人口の光、そして闇夜を照らす蝋燭の炎と、本作では3つの光を使っているんだが、それも人生のさまざまな局面を表しているんだ。そして、人生において大事なのは“ユーモア”なんだ。

ーー本作は結婚式場の1日を描いた作品ですが、ひとつの式(作品)を成功させるために、たくさんのスタッフが必死で働きまわるという部分で映画製作の裏側を描いたフランソワ・トリュフォー監督作『アメリカの夜』を思い出したりもしました。

ナカシュ:そのとおりだよ。自分が仕事をしている映画の世界をそのまま描くのは少し抵抗があったから、婉曲して結婚式場を舞台にしたんだ。最後に、映画についての映画で僕がもっとも素晴らしいと思っている作品を教えてあげよう。トム・ディチロ監督作『リビング・イン・オブリビオン/悪夢の撮影日誌』。この作品は僕たちが『セラヴィ!』で描きたかったものと同じように、コメディではあるんだが、人間の可笑しみと切なさが存分に詰まった作品なんだ。

(取材・文・写真=石井達也)

■公開情報
『セラヴィ!』
渋谷・シネクイントほか全国公開中
監督:エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ
出演:ジャン=ピエール・バクリ、ジル・ルルーシュ、ジャン=ポール・ルーヴ、ヴァンサン・マケーニュ
配給:パルコ
2017年/フランス/117分/原題:『Le Sens de la fete』/英題:『C’EST LA VIE!』
(c)2017 QUAD+TEN / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / PANACHE PRODUCTIONS / LA COMPAGNIE CINEMATOGRAPHIQUE
(c)Bernard RIE Photographies
公式サイト:cestlavie-movie.jp

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