『君が君で君だ』インタビュー

池松壮亮×松居大悟監督『君が君で君だ』対談 気鋭の俳優と監督が追いかけた尾崎豊の姿

松居「自分が信じたいなというものを作りました」

ーー尾崎をはじめ、3人とも異常な行動が多いと思うのですが。

松居:異常でしたか?

ーーいや……はい。自身が演じた尾崎含め、3人の行動から何か感じるものはありましたか?

池松:はっきり言って、共感はないです。僕はこんなことしないし、ちょっと分からない行動がたくさんあるけれども、この映画に漂うものに関して、ほんの少しだけ“身に覚え”を感じるんですよね。人を好きになることや愛することは、僕も俳優なのでわりと考えてきた方だと思っていますし、自分ではものすごくロマンチストだし情深い人間だと思って27年間過ごしてきたんですけど、突然「好きだから同化したい」とか「好きだから食べる」とか言われると、価値観が揺らぐんですよ。そういうものに対して共感とは言えないけれども、この3人を見ているとどうしても切なくなって、自分が演じたいというか、自分なら演じられるんじゃないかと思いました。

松居:共感というより提案ですね。こういう愛し方をするやつもいるし、僕はこういう愛し方をする人を愛おしいなとも思う。でもこれが理解されないことだとも、もちろんわかっているんです。映画って、全員が右を向いたり、左を向いたりとか、全員が笑ったりするものじゃなくてもいいと思っていて、声出せない人が声出したりすることもあっていいと思うし、そういう表現に救われてきたからこそ、自分が信じたいなというものを作りました。

ーー監督にとって俳優としての池松壮亮はどのように映っているのでしょうか?

松居:外から見ていると、それぞれの作品の雰囲気の中に上手く存在していて、本人を感じさせずに作品にのめり込ませることができるのは、俳優としてすごい力を持っているなと思います。作品を一緒にやっているときは、「俳優・池松壮亮と一緒に」というよりも、「一緒に作る仲間」という意識の方が強いです。特に本作に関して言えば、結構コアなこと、話していても伝わりづらいことをやっているので、やり合うこともあるし、やり合ったから生まれるものもたくさんありました。

ーー池松さんにとって、松居監督はどんな存在ですか?

池松:20歳のときに出会って、出身も一緒で、例えば同じ尾崎豊さんが好きだったり、同じ映画を好きだったり、年が5個くらい違うけど、どこかに同時代性みたいなものを感じていて、同じような景色を見てきたんじゃないかなとも感じます。そして、これだけ関わるということはやっぱり、僕は松居監督の作品が好きなんです。松居大悟応援団長みたいな気分でもあるし、松居さんが作品を作るたびに、自分が関わっていなくとも、世の中に届いてほしい何かが一つある。いろいろひっくるめて、自分にとって貴重な存在です。

(取材・文・写真=大和田茉椰)

■公開情報
『君が君で君だ』
新宿バルト9ほか全国公開
出演:池松壮亮、キム・コッピ、満島真之介、大倉孝二、高杉真宙、中村映里子、山田真歩、光石研(特別出演)、向井理、YOU
監督・原作・脚本:松居大悟
音楽:半野喜弘
制作:レスパスフィルム
配給:ティ・ジョイ
(c)2018「君が君で君だ」製作委員会
公式サイト:https://kimikimikimi.jp

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2018年7月19日(木)

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