芳根京子が語る、吹替初挑戦『ボス・ベイビー』を通して感じた家族の大切さ「兄に会いたくなった」
ドリームワークス・アニメーション最新作『ボス・ベイビー』が3月21日より公開される。マーラ・フレイジーの人気絵本『あかちゃん社長がやってきた』を原案に、『マダガスカル』シリーズのトム・マクグラスが監督を務めた本作は、7歳の少年ティムと、彼の元に弟としてやってきた、見た目は赤ちゃんだが中身はおっさんの“ボス・ベイビー”の大冒険を描いたコメディアニメだ。
今回リアルサウンド映画部では、日本語吹替版でティムの声を担当した芳根京子にインタビューを行った。初挑戦となる声優にどのような姿勢で臨んだのか。見事な吹替を披露したその役作りの背景から、映画のテーマにもつながる自身の兄との関係性についてまで話を訊いた。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】
「普段のお芝居とは全然違うものだと感じました」
ーー芳根さんにとって今回が初めての吹替挑戦になりますが、同じく吹替版の声優を務めたムロツヨシさんや山寺宏一さんも日本語吹替版完成報告会で絶賛していたように、正直そのあまりの上手さに驚きました。
芳根京子(以下、芳根):本当にホッとしました! 声を録ってからはスタッフさんともお会いしていませんでしたし、他のキャストの方々に関しては収録のときにすらお会いしていなくて。完成報告会のときまで皆さんの反応は何も聞いていなかったので、「よかった」と言ってくださって本当にうれしかったです。
ーー初挑戦ということでプレッシャーもあったのでは?
芳根:もちろんプレッシャーはありましたが、初めてアフレコをさせてもらうのが海外の人気作品なんて、逆にこんな貴重な経験はないと思ったので、自分ができることは精一杯やろうという気持ちでした。台本と照らし合わせながら毎日字幕版の『ボス・ベイビー』を観て、現場に行っていました。役作りについてもいろいろ考えたのですが、初めてということもあってやり方すら分からなかったので、スタジオに行くまでに悩んでも何も閃かないんです。だから、自分でできることは全てやって、スタジオでスタッフさんたちといろいろお話をさせていただき相談をしながら、皆さんと一緒にティムの声を作っていきました。
ーーアフレコ開始時は10歳だったというマイルズ・バクシさんが声優を務めた本国版のティムの声は意識しましたか?
芳根:最初はちょっと寄せようと思っていたんです。だけど、うまくいかなくて。それに、せっかくやらせてもらうからには、何かの真似をするのは違うなとも思ったんです。もちろん特徴的な部分や素敵なところなど参考にしたところもあったのですが、それを自分なりのティムとして生かすことを考えました。ティムはセリフも多いので、私の喉に負担がかからないような声の出し方をスタッフさんが考えてくださったのも大きかったですね。
ーー年齢も性別も違う7歳の男の子の声を演じるのは、声優初挑戦にしてはかなりのハードルの高さだと思います。
芳根:自分が男の子になれることはないので、まずは「もし自分が男の子だったら…」と考えました。そこから、もうちょっと幼くしようとか、女の子っぽい声になってしまったから語尾を強くしてみようなど、スタッフさんと話し合いながら声のトーンを調整していきました。そうすると、だんだんと自分の中でもビシッとハマる感じがしていったんです。そこに行き着くまでは大変でしたが、掴んでからは本当に楽しくアフレコをすることができました。
ーー普段のお芝居との違いを感じることもあったのではないでしょうか。
芳根:感情の流れが大事だという共通する部分はあって。でも、決まっている絵にハメなければいけないのはやっぱり全然違うものだと感じました。普段は自分の自然な息遣いや言葉になっていない声も演技に反映できますが、アフレコは絵がある分、一つの声が多かったり少なかったりという問題が生じてきてしまうんです。例えば「やめろ!」というせりふの前に、「うっ」と反応しなければいけないシーンがあって、その「うっ!」の長さなども細かく調節していかなければならなくて。その難しさはありましたね。でもそれも慣れてくるとだんだん楽しくなって行きました。
ーー芳根さんがアフレコをしたときはボス・ベイビー役のムロさんの声は入っていたんですか?
芳根:ムロさんとはほぼ同時進行で収録をしていたんです。最初はムロさんの声が入っていたんですけど、途中で私が絶好調になっちゃってスピードが上がったんですよ。それでムロさんを抜かしてしまって(笑)。その結果、途中からはムロさんの声がなくなってしまったので、すごく寂しい気持ちになりました(笑)。でもムロさんも最初はこういう思いで声を当てていたんだなと思ったら、最後は「私の声がムロさんに届きますように」という思いで声を入れていきました。