マルチな活動は俳優業にもプラスに!? 爆走が止まらない菅田将暉の2017年

『火花』でも明かされない菅田将暉の正体

 そして、10月30日から11月26日かけて上演され、菅田が久々に出演した舞台『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』では、生田斗真とともにそれぞれタイトルロールを好演。足早に振り返っただけでも、ほとんど爆走状態といっていいほどの活躍を見せた1年であったことが分かる。 

 いよいよラストへ向かう、大河ドラマ『おんな城主 直虎』(NHK)でも安定した演技と存在感で作品を支える菅田。柔軟なスタイルで披露するいくつもの才能に驚かされたが、やはりこの2017年はスクリーンでの活躍が凄まじいものであった。

 エッジの効いた世界観の映画『帝一の國』では、超絶ハイテンションで野心の男・赤場帝一を演じ、人気マンガの実写化にそうそうたる面々が集った映画『銀魂』で演じた志村新八役では、軽やかなノリツッコミでコメディセンスを披露。声優初挑戦となる『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』の島田典道役では、声だけの表現に全力投球し、中学生の恋心を瑞々しく演じた。肉体改造して挑んだ怪作『あゝ、荒野』の新宿新次役は、その拳に、その咆哮に、観客の魂が削られる、まさに怪演であった。

 そして今作『火花』では、神谷(桐谷健太)の天才性に対して、バカになりきれていない姿が印象的だ。彼が演じる徳永という役は、あまりに自由な神谷と比べれば終始控えめなように見えるが、クライマックスの漫才では圧巻のパフォーマンスを見せる。神谷より先に大人になる、大人にならざるを得ない彼の姿は、涙なくして見られない。

 こうしてみると、彼の軸はやはり俳優業にあるわけだが、今年始めたさまざまな活動は、演じることにおいて良好な関係を築いているように思えるのである。2018年はどんな顔を見せてくれるのか、菅田将暉の爆走は止まらない。

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■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。

■公開情報
『火花』
全国公開中
出演:菅田将暉、桐谷健太、木村文乃、川谷修士、三浦誠己、加藤諒、高橋努、日野陽仁、山崎樹範
監督:板尾創路
脚本:板尾創路、豊田利晃
原作:又吉直樹「火花」(文春文庫刊)
(c)2017「火花」製作委員会
公式サイト:http://www.hibana-movie.com/

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