山田孝之×イッセー尾形が語る、巨匠ゴッホへの共感 「永遠に人生があるかの如く描いている」

山田孝之×イッセー尾形が語るゴッホへの共感部分

 11月3日より公開されている映画『ゴッホ~最期の手紙~』。本作は、印象派の巨匠ゴッホの死の謎に迫る、全編が動く油絵で構成された体感型アートサスペンス映画だ。リアルサウンド映画部では、主人公アルマン・ルーランの声優を務める山田孝之と彼の父親ジョセフ・ルーランを演じるイッセー尾形の対談インタビューを行い、初共演の印象やゴッホに対する想いなどについて語ってもらった。(編集部)【※インタビュー最後にサイン入りプレスプレゼントあり】

イッセー尾形「山田さんはすごく演じることに真摯な方」

ーーこの作品で声優を務めることになった経緯を教えてください。

イッセー尾形(以下、イッセー):この映画のポスター画像を見たことがあって、日本で公開するならぜひ観たいなと、いつだろういつだろうと待ちわびていたところ、公開前にこの声優の話が来まして。こういう形で関わることができるなんて思ってもいなかった。

山田孝之(以下、山田):僕も全く一緒です。僕は制作段階かこの作品が日本にくる前にSNSで見て、事務所に話が来た時、台本を読む前にもう「やりたい!」って言いました。

ーーSNSで知った際にはどういうところに興味を持ちましたか。 

山田:実写で撮ったものをアニメーションにするという映画の作り方に惹かれました。しかも100人以上の画家がゴッホのタッチで絵を描くって、相当じゃないですか。その手法としての面白さと、ゴッホの死を追っていくミステリーになっているのも物語として面白いと思いました。

『ゴッホ~最期の手紙~』作業風景

ーー山田さんは先月公開された『DCスーパーヒーローズ vs 鷹の爪団』でも声優を務めていますが、本作の吹き替えはいかがでしたか?

山田:この映画の作り方自体、実際に芝居をしている映像をアニメーションにしているので、普通のアニメの声の入れ方とは違うなと思い、バランスの取り方を模索しました。アニメの場合、声優さんが抑揚をつけて喋るし、お客さんたちもそれに耳が慣れているので、自然な会話のトーンでやると逆に棒読みに聞こえてしまったり、ちょっと浮いてしまったりします。だから、俳優が声優さんたちに混じってアニメーションに声をあてる時に、どのぐらいのバランスでやったらいいんだろうかというのは常に課題です。自然のトーンではないんだけど声を作りすぎない、というような中間を取れればいいなと思ってやったつもりですが、難しいですね。

ーー自身が演じた役についてはどうでしょう?

山田:自分はそこまで真相を追うべきなのか、それほどゴッホの死への興味が湧いていない段階から、色んな人に話を聞いていく中で徐々に気持ちが前のめりになっていくアルマンの心情は理解できるものでした。ただ、知れば知るほど謎が深まっていくけど、結局、最終的に待ってるのは死であって……そのモヤモヤした感じはとても重要だなと思い、特に意識した部分ですね。

イッセー:僕はセリフの中で息子アルマンに「お前が死ぬ前に書いた手紙を俺だったら読みたいよ」っていうくだりが、ジョセフのこの映画の中での1番の大きな役割だと思い、その気持ちをストレートに伝えられるように意識しました。自作ですが、5年前にゴッホとゴーギャンのバトルのようなやりとりを優しく見守るジョセフの物語の人形劇を作っていたので、偶然ではありますが、愛着のあるキャラクターを演じることができて、とても嬉しかったです。

アルマン・ルーラン、ジョセフ・ルーラン

ーー初共演のお二人ですが、お互いの印象はいかがでしたか。

山田:僕が慣れてない部分もあって悩んでいた時に、イッセーさんが「山田さんがやりやすいようにやって頂いて大丈夫ですよ」と言ってくださりました。そのかけてくださった言葉で感じた嬉しい感情を、“親子”を演じる上で父に対する愛や信用に転換して気持ちを表現できたらなとは思っていました。ですが、僕がずっと「うーん」と悩んでいたことが多かったので申し訳なかったです。

イッセー:全然そういう風に見えなかった。真っ先に裸足になってやる気を見せましたよね(笑)。

山田:本当ですか。僕、声を録る時必ず裸足になってしまうんです。

イッセー:山田さんはすごく演じることに真摯な方ですから。その先に僕たちが作り上げる親子像があればいいなと思って、それで僕も裸足でやりましたね。

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