平祐奈、奇跡のような笑顔ーー『ReLIFE リライフ』は爽やかな感銘を与える

 17歳の世界に紛れ込んだ27歳の中川は、本当は自分こそまだ大人ではないことを自覚しながら年下の仲間たちの日常におのずと関わっていく。がんばれ、がんばろう、がんばることをあきらめないで、という言葉が頻出するこの映画が、けっして押しつけがましくも空疎でもなく、希望などないように思える現代の社会の「大人」──27歳でも37歳でもよい──に爽やかな感銘を与えてくれることはまちがいない。

 さらに、白い光と水滴を浴びて輝くヒロインの笑顔に呼応するように、ラスト近くで主人公が(仲間たちと歩きながら)カメラに向かって何度も微笑みかけるスローモーションのシーンは、楽しい時、嬉しい時にこうやって笑いかけることのできるのが女の子にはかぎらないこと、男の子にも大人の男性にもまったく同じようにできることを気づかせてくれる。当たり前のことを、まるで奇跡のような笑顔の魅力でもって示してくれるのである。

 

■田村千穂
1970年生まれ。映画批評・研究。著書に『マリリン・モンローと原節子』(筑摩選書)、『日本映画は生きている』第5巻(岩波書店、共著)。2017年度は中央大学にて映画の授業を担当。

■公開情報
『ReLIFE リライフ』
全国公開中
原作:夜宵草著「ReLIFE」(comico)
監督:古澤健
脚本:阿相クミコ
出演:中川大志、平祐奈、高杉真宙、池田エライザ、岡崎紗絵、千葉雄大、市川実日子
企画:カルチュア・エンタテインメント             
配給:松竹
制作プロダクション:C&Iエンタテインメント
(c)2017「ReLIFE」製作委員会 (c)夜宵草/comico
公式サイト:relife-movie.jp

関連記事