橋本愛は形なき表現の「器」になるーー『PARKS パークス』で見せた美しさと強さ
『PARKS』では、無防備で、無頓着で、勇ましく、脆く、情けなくて、頼りになる、そんなヒロインとして生きている。よろよろと、しかし、確かな足取りを感じさせるその芝居は、「大きな足の仔犬」を彷彿とさせる。「大きな足の仔犬」は、やがて大きくなる。そんな予感に、わたしたちは安堵し、気がつけば微笑んでいる。
未来を孕む現在は、過去を抱擁することもできる。その真実を、橋本愛の躰が伝えていく。流れるように、奏でるように。
これは、音楽の映画だから、橋本愛は歌うし、さらにギターも弾くし、なんと踊ったりもする。驚くべきことに、これはミュージカルでもあったりする。音楽を全身に通過させながら、それらを表現していく橋本愛のありよう。美しさの中に野太さがあり、繊細さの中に強さがある。
華奢なのにふてぶてしい、その稀有な存在感が、『PARKS』という映画を震わせる。橋本愛の肉体はいま、可憐な「器」からタフな「楽器」へと飛翔しつつある。
■相田冬二
ライター/ノベライザー。雑誌『シネマスクエア』で『相田冬二のシネマリアージュ』を連載中。otocotoで『Invitation』の元編集長・小林淳一と「SMAPとは何だったのか」緊急対談掲載中。最新ノベライズは『嘘の戦争』(角川文庫)。
■映画情報
『PARKS パークス』
4月22日(土)よりテアトル新宿、4月29日(土)より吉祥寺オデヲンにて公開
出演:橋本愛、永野芽郁、染谷将太、石橋静河、森岡龍、佐野史郎、柾木玲弥、長尾寧音、岡部尚、米本来輝、黒田大輔、嶺豪一、原扶貴子、斉藤陽一郎、麻田浩、谷口雄、池上加奈恵、吉木諒祐、井手健介、澤部渡(スカート)、北里彰久(Alfred Beach Sandal)、シャムキャッツ、高田漣
監督・脚本・編集:瀬田なつき
音楽監修:トクマルシューゴ
劇中歌:PARK MUSIC ALL STARS「PARK MUSIC」
エンディングテーマ:相対性理論「弁天様はスピリチュア」
製作:本田プロモーションBAUS
制作プロダクション:オフィス・シロウズ
配給:boid
2017年/日本/カラー/118分/シネマスコープ/5.1ch
(c)2017本田プロモーションBAUS
公式サイト:http://www.parks100.jp/