ハリウッド、最新映画の配信サービスに賛否 ノーラン監督「劇場での上映形態にしか興味がない」

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クリストファー・ノーラン『ダンケルク』ポスター (c)2016 Warner Bros. All Rights Reserved.

 これに対し、スクリーニング・ルームにも反対していたノーラン監督は、「私は劇場での上映形態にしか興味がない」と即日真っ向から否定。同イベントでは彼の最新作で第2次世界大戦中の「ダンケルクの戦い」を描いた『ダンケルク』の予告編が公開された。作品に対する劇場主たちの評価は非常に高く、ノーラン自身も「観客に、大きなスクリーンで映画の舞台に入り込んだかのような体験をしてもらいたい」と語り、強い自信とこだわりを見せた。デジタル上映が当たり前になった今では珍しい、35mmフィルム、70mmフィルムでの上映も行うと宣言している。

 果たして観客は日本円にして約5500円(50ドル)を払い、自分の都合や環境に合わせて最新映画を観たいものなのだろうか。個人的にはその金額を払うならば劇場で3本観たいと思ってしまう。スクリーニング・ルームやPVOD配信には賛否両論があるものの、劇場で観ることを前提として作られた映画の“劇場体験”で得られる感動に代わるものはない。しかし、利益の向上や確保も映画製作に欠かすことのできない要素のひとつ。とは言え、万が一これらのサービスが普及した場合、劇場主に利益が配当されてもやはり「大打撃は必至」との声が上がっており、劇場経営の危機にも関わると見られる。来年のシネマコンまでにこれらのサービスが具体化するのか。今後どんなアップデートが聞けるのかを見守りたい。

■賀来比呂美
ライター/編集者。大学で映画学を専攻。海外セレブ情報誌の編集者を経て、現在、「シネマカフェ」、「Petomorrow」などで執筆。好きな監督はウェス・アンダーソン、好きなものは映画、海外ドラマ、お酒、犬猫。

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