『トリプルX』15年ぶりに“再起動”したワケ 時代を先取りした荒唐無稽アクションの魅力

 実際、『トリプルX:再起動』はオリジナルよりも『ネクスト・レベル』のノリで作られている。いきなり人工衛星が落ちてきたり、ネイマールが本人役で出てきたり、ドニー・イェンが窓から飛び込んできたりと、明らかに荒唐無稽度は上がり、同時にチーム戦である点を全面に押し出している。どちらも1作目では薄かった要素だ。オリジナルの主人公に、ともすれば無かったことにされそうな代役続編のノリ。そして、こういった過去の総決算に加えて「ある設定」の追加により、今後どんな人がどんな役で出てきても大丈夫な土壌もできた。これまでを踏まえた上で、これから更に自由に遊べる場所としてシリーズを再起動させたのだ。

 なお最後に付け足しておくと、「ほとんど同じじゃないか」と言われがちなワイスピと差別化できている点も注目だ。ワイスピは何が起きても最後は「家」に帰る物語になっている。一方のトリプルXは帰るべき「家」を持たない者たちの話だ。つまり死ぬまで危ないことをする人たちの話になっており、このためワイスピよりも遊び人感が倍増。チャラさは確実にこっちの方が強めだ。そう考えると1作目のチャラいスパイ映画というコンセプトを正しく継承しているとも言える。まさに偉大なるパーティーピーポー讃歌。是非ともシリーズ化して、ドンドン話をデカくして夢のようなキャストをブチ込んで来て欲しい。過去を清算し、今後の爆アゲを期待させる理想的な再起動作である。

■加藤よしき
ライター。1986年生まれ。暴力的な映画が主な守備範囲です。
『別冊映画秘宝 90年代狂い咲きVシネマ地獄』に記事を数本書いています。

■公開情報
『トリプルX:再起動』
全国公開中
監督:D・J・カルーソー
脚本:F・スコット・フレイジャー
出演:ヴィン・ディーゼル、ドニー・イェン、ニーナ・ドブレフ、サミュエル・L・ジャクソン、ルビー・ローズ、トニ・コレット、ディーピカー・パーデュコーン、クリス、ネイマールJr.
配給:東和ピクチャーズ
原題:xXx: Return of Xander Cage
公式サイト:RETURNOFXANDERCAGE.COM

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