『ファインディング・ドリー』MovieNEX発売記念 ピクサー・スタジオ現地取材

ピクサー社員はどんな環境で働いている? ピクサー・アニメーション・スタジオ潜入レポ

ジェイソン・ディーマーリアルサウンド映画部のために描いてくれたハンクのイラスト

 今回は、第3回のレポート記事にも登場してくれたキャラクター・アート・ディレクターのジェイソン・ディーマーによる、ハンクとドリーの描き方レッスンも体験することができた。ジェイソンによると、キャラクターを描くときは、まずそのキャラクターを描くためのモチーフを考えるそうで、ドリーには、卓球のラケット、ローマ字の“S”、羽根、ギターピック、卓球ボールなど、ハンクには、カラーコーン、野球ボール、ワインのコルク、バックパックなどの要素があると説明しながら、キャラクターの描き方を解説。今回は特別に、リアルサウンド映画部のために直筆でハンクのイラストも執筆してくれた。

サッカー場プール
Assistanceポール

 スタジオには、The Steve Jobs Buildingのほか、Brooklyn、West Village、SoHoという、ニューヨークの地域からつけられた3つの建物があり、敷地内には、バスケットコートやサッカー場、プールなどの施設も。あまり治安がよくないというエメリービルだが、敷地内にはいたるところに“Assistance”と書かれた青いポールが設置されており、ボタンを押せばすぐに警備が駆けつけるようなシステムになっている。セキュリティにも細心の注意が払われているのだ。

『モンスターズ・インク』のサリーとマイク
『インサイド・ヘッド』のビンボン

 The Steve Jobs Buildingには、主にアーティストやマネジメント担当のオフィスが入っているが、Brooklynビルには、テクノロジー系やアイデア系の仕事を担当する社員が集まっている。こちらでは、『モンスターズ・インク』のサリーとマイク、『インサイド・ヘッド』のビンボンがお出迎え。

暖炉やソファーなどを完備ビリヤード台も暖炉内にあるジミー・クラクストンの展示

 The Steve Jobs Buildingとは対照的に、ソファーや暖炉、ビリヤード台などが配置されたBrooklynビルには、落ち着いた大人の雰囲気が漂う。暖炉の内部には、Jimmy Claxton Loungeという名前がついた隠し部屋があり、20世紀に初めて黒人として野球リーグでプレーした選手で、オークランド・オークスのスターでもあったジミー・クラクストンにまつわる展示物が飾られていた。

レコーディング・スタジオレコーディング・スタジオ

 『ファインディング・ドリー』ではドリー役のエレン・デジェネレス以外の全キャストがアフレコを行なったというレコーディング・スタジオも、このBrooklynビルの中にある。今回はアフレコを体験をさせてもらったが、レコーディング・スタジオにもピクサー作品のキャラクターのぬいぐるみやフィギュアなどが飾られており、ピクサー作品に命が吹き込まれていく現場の空気を味わうことができた。

日が落ちるとライトアップされるルクソーJr.とルクソーボール

 今回は見学することができなかったが、スタジオ内にはトレーニングルームやヨガルームなどの設備もあり、ジョン・ラセターをはじめとする社員それぞれのスタッフルームも、ピクサーならではのオリジナルなものになっているそうだ。ピクサーが世界的な評価を受けるようなクオリティの高い作品を常に生み出すことができるのは、充実したスタジオの設備によるところも大きいのだろう。約10時間の滞在だったが、一瞬たりとも退屈することのない、非常に有意義な時間を過ごすことができた。

(取材・文=宮川翔)

ピクサー・スタジオ現地取材第1回:『ファインディング・ドリー』監督&プロデューサーが語る、ピクサー作品成功の秘訣
ピクサー・スタジオ現地取材第2回:ピクサー日本人クリエイターが語る、『ファインディング・ドリー』制作の裏側と日米アニメの違い
ピクサー・スタジオ現地取材第3回:『ファインディング・ドリー』クリエイター陣が明かす、作品世界の創造とタコのハンクの制作秘話

■リリース情報
『ファインディング・ドリー』
MovieNEX(4,000円+税)発売中&デジタル配信中
(c)2017 Disney/Pixar
公式サイト:disney.co.jp/movie/dory

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