『下剋上受験』子役・山田美紅羽はブレイクなるか? 役者としての実力を検証

 13日からスタートしたTBS系金曜ドラマ『下剋上受験』(TBSテレビ)。偏差値41の小学生と中卒の父親が、塾に通うことなく難関私立中学を受験するという破天荒な実話を記録した同名ブログを原作にした本作は、受験を軸にしたホームコメディである。

 物語の主人公である父親役の阿部サダヲを筆頭に、要潤、手塚とおる、風間俊介、小林薫ら個性的なキャスティングが集結。そして、深田恭子が母親役に挑むということにも話題が集まる本作。しかし、受験の主役となるのはやはり子供である。娘の佳織役に、約250人のオーディションから選ばれたのは、ちょうど本作のクランクインと同時に11歳を迎えた山田美紅羽だ。

 一度見ただけで記憶に残るこの名前は本名だそうだ。美紅羽、と書いて〝みくう〟と読む。いかにも現代っ子らしいハイカラな名前である。そんな現代っ子の雰囲気とは相反するように、所属事務所のプロフィールの好きな映画欄に『男はつらいよ』を挙げ、インタビューではカラオケの十八番が松田聖子だと語る。実に興味深い子役が現れたものだ。

 2014年の春にマクドナルドのハッピーセットのCMでデビューした彼女は、2015年末に公開された山田洋次監督の『母と暮らせば』で女優デビューを飾る(同作のオーディション前に『男はつらいよ』を見てハマったそうだ)。それだけでも充分に期待された新人という感じがするが、彼女が同作で演じた“すみれ”という少女は、劇中のラストでとても印象に残るキャラクターなのだ。これは日本映画界の重鎮から素質を認められたということに違いない。

 そして彼女は、昨年1年間で多くの作品を経験。テレビの2時間ドラマから、手塚治虫原作の『ワンサくん』のミュージカルで舞台経験を積み、直近では11月に公開された織田裕二主演の映画『ボクの妻と結婚してください』にも出演。そのいずれも端役であったが、今回のドラマでの大抜擢につながる重要なキャリア固めの時期だったということだ。

 『下剋上受験』で彼女が演じるのは、明るく元気な小学生・佳織。たまたま受けた全国テストで下から数えたほうが早い順位になり、自信満々だった塾の入塾テストでも不甲斐ない成績で、自分が“落ちこぼれ”であると悟ってしまうのである。第1話の序盤で見せる明朗活発な典型的小学生像から、自分の実力を知ってトーンダウンしていく演技の抑揚は実に見事であるし、スマートフォンで調べた言葉の意味をすらすらと読み上げる場面をはじめ、長いセリフにも対応するクレバーさも発揮。久々に、長く活躍できそうな子役が登場したのではないだろうか。

関連記事