2016年アニメ大ヒット現象はなぜ起こった? 豊かなシーンを育んだ“日常系”のリアリティ

 今年、アニメが注目を集めたのは『君の名は。』の歴史的ヒットが突破口となったことが大きい(もうひとつはアニメファンの年齢的な範囲が広がっていることもあるのだが、ここでは深くは触れない)。だから、来年以降は、今年初めてアニメの豊かさに触れた多数の人々に、どうアニメへの関心を維持してもらうかも課題のひとつとなるはずだ。ファンの裾野の広がりがあればあるほど、さまざまな企画の可能性が広がり、アニメはさらに豊かになる。

 厳しい状況が伝えられる制作状況、労働環境の改善とあわせて、2016年を“最後の”ピークとしないためにクリエイティブ面、制作面でどのような取り組みが広がっていくのかが来年以降の注目点といえる。

■藤津亮太
1968年生まれ。アニメ評論家。著書に『「アニメ評論家」宣言』(扶桑社)、『チャンネルはいつもアニメ』(NTT出版)、『声優語』(一迅社)がある。アニメ!アニメ!にてアニメ時評「アニメの門V」を連載中。titterID:@fujitsuryota

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