『オオカミ少女と黒王子』『溺れるナイフ』……少女漫画原作の映画が女子を魅了する3つの理由

その3:憧れの妄想シチュエーションが詰まっている!

 現実にはなかなか見られない“妄想シチュエーション”を、実写で表現することのインパクトも、近年の少女漫画原作映画の醍醐味といえよう。壁ドン(男性が女子を壁際に追い詰めて手を壁にドンと突く行為)、肩ズン(男性が女子の肩にズンと頭をもたれるようにして弱音を吐くこと)、顎クイ(男性が手で女子の顎をくいっと持ち上げ、顔を無理やり自分のほうへ向けさせること)、俺コス(男性が上着を脱いで女子にそっとかけてあげる行為)など、少女漫画ならではの表現は、その言葉が一人歩きして、近年は女子たちの間だけではなく広く世の中に浸透した。

 こうしたシチュエーションは、実際に体験することはほぼないと思われるが、だからこそ女子が憧れてやまない輝きを放っている。おそらく、フィクション性の高い漫画だからこそ生まれた表現であり、映像化するとその破壊力は倍増する。見ていて気恥ずかしくなることウケアイだが、そこがたまらないのである。

 世の女子たちの多くは、理想がギュッとつまった少女漫画の世界のヒロインになりたいと、一度くらいは本気で思ったはずだ。その夢をスクリーンの中で叶えてくれる“少女漫画の実写化”は、名作漫画が世にある限り、これからも続いていきそうだ。

(文=戸塚安友奈)

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