『雨女』清水崇インタビュー
清水崇が語る、4DX専用ホラーに挑戦した理由 「心理的な面でエフェクトを使えば、全く違う映画体験ができる」
新しい技術に柔軟に対応すべき
ーーところで、3Dや4DXなどテクノロジーの変化によって、やはり監督に求められる知識や技術は変わってくるものでしょうか。
清水:作品の面白さが、怖さや刺激の強さで判断されるホラー映画は、ほかの作品と比べてみてもわかりやすいジャンルなので、新しい技術を試す場に選ばれることが多いです。僕は本来新しい技術に自ら向かっていくようなタイプではないのですが、新しい技術をこれからの作品にどう落とし込んでいくか考える必要があるとも感じています。技術だけでなく、使いこなす人間側のセンスも磨いていく必要があるからこそ、これまで3D作品などをいくつか手掛けてきました。正直に言うと、3Dを本当に効果的に使いこなせている作品を未だに観たことがない。僕は既に3D作品を2本監督していますが、もっと貪欲に研究していけば、これまでにない革新的な使い方がさらに見つかると思っています。
ーーJホラーは縮小の傾向にあるとよく話を聞きますが、監督は現在の状況をどのように感じていますか?
清水:Jホラーと聞くと、何年前のことを話しているんだろう、と恥ずかしくなることがあります。『リング』の監督を務めた中田秀夫さんは、僕よりも10歳くらい上の世代で、そこに続く形で僕が『呪怨』を作ったり、ほかにも『着信アリ』などが生まれてきました。いつの時代でも、その時に合った言葉やジャンルが生まれてくると思うのですが、そろそろ新しいものが生まれてきてもいいのかなって思います。簡単なことではありませんが、過去作の焼き直しやシリーズでは無く新しい発想でホラーを作り出す20代、30代の監督に出てきてほしいですね。でないと、僕がいつまでたっても『呪怨』の監督と言われ続けることになるので(笑)。もちろん僕自身も新しいジャンルを開拓していきながら、ホラーでもこれまでにない切り口の作品を作りたいと思っています。
ーー今後4DXは、映画業界にどんな影響を与えていくと思いますか?
僕も初めて一本手がけたところなので、大層なことは言えないです。ただ、最近はスマートフォンやタブレットで映像作品を手軽に観ることができるため、劇場に足を運ぶことに意義を感じない人が増えてきていると思います。4DXは劇場でしか体験できない映画なので、映画館離れしている人を呼び戻すきっかけにもなればと望んでいます。4DXにこだわらずとも、劇場で集中して観た映画は必ず、別の印象だし思い出にもなる体験なので、特にお子さんや若い世代の方にはそういう映画の醍醐味を知ってもらって、映画をより楽しんでもらいたいです。
(取材・文=泉夏音)
■公開情報
『雨女』
6月4日(土)全国のユナイテッド・シネマ他にて4DX(R)限定公開
監督・脚本:清水崇
出演:清野菜名、栁俊太郎、高橋ユウ、みやべほの、奈緒、田口トモロヲ
配給:ユナイテッド・シネマ
(C)2016「雨女」製作委員会
公式サイト:www.ame-onna.jp