風間俊介、なぜ“エログロ”映画に出演? 『少女椿』で見せた役者としての新境地

風間俊介、『少女椿』出演で得たものは?

 丸尾末広によるエログロ漫画『少女椿』。これまでアニメ化・舞台化がされてきたが、過激な内容のため上映禁止や輸入禁止などの処分がなされており、世界観を描く難しさから映像化は不可能と言われていた。しかしその実写映画が、5月21日よりシネマート新宿を中心に東京・大阪・愛知にて公開されている。公開初日は立ち見が出るほど話題を呼んでいるが、その内容は賛否両論である。倫理的に実現できない部分も多いため、描写は原作よりもだいぶマイルドで、ストーリーの後半はオリジナルストーリーとなっているためだ。

 そんな中、注目したいのはジャニーズ事務所の風間俊介が、幻術を使った手品師・ワンダー正光役で出演していることである。『少女椿』は全国で6館のみでの上映という小規模なものであるし、R15指定されるだけあって過激な濡れ場も含まれている。ネット上では「よくジャニーズ事務所がOKを出したな」とも言われているほどだ。しかし、出演したということは何かしらのメリットがあるからこそ。ジャニーズ事務所にとっても、風間にとってもいくつかメリットはあったはずだが、その内の一つは“風間の役者としての幅が広がること”ではないか。では、どのように演技の幅が広がったのか考えてみたい。

 風間俊介は、1999年に放送された『3年B組金八先生』(TBS系)の第5シリーズのキーパーソン・兼末健次郎役で一躍有名となった。その後様々なテレビドラマや映画、舞台で活躍をし、『それでも、生きてゆく』(フジテレビ系)で第70回ザテレビジョンドラマアカデミー賞・助演男優賞と、第66回日本放送映画藝術大賞・優秀助演男優賞を受賞。連続テレビ小説『純と愛』(NHK系)にて風間俊介という名前をお茶の間に一気に広めた。風間がこれまで演じてきた役を見てみると、シリアスかつ二面性が目立つ役が多い。『純と愛』の待田愛・待田純役は「不気味で異彩を放っている」と評されている。風間にとって、「一見普通の青年だが、実は狂気を秘めている役」が十八番となっているのだ。

 今回のワンダー正光役も「物腰が柔らかく紳士的だが、激しい独占欲を持つ」という二面性を持つが、そこには丸尾末広原作ならではのコミカルさがあった。例えば、みどりに対して手招きをするシーンが多々あるのだが、掴みどころのない不気味さの中にも、どこか軽快さを感じる。見方によってはクスリと笑ってしまう演技のさじ加減は流石といったところだ。風間が出演した作品の中では、テレビドラマ『最悪の卒業式』(日本テレビ系)や、映画『Zアイランド』(KADOKAWA/吉本興業)はコメディ色が強かったが、ワンダー正光のようなキャラクターは風間にとって初めての挑戦。実際、初日の舞台挨拶でも、「今まで変わった役が多かったでうが、この役が最高潮です」と本人もコメントしている。一方でオリジナルストーリー部分では、泣かせる演技もしっかりこなす。ワンダー正光の幻術がほしいとねだるみどりに対し、「おじさんの魔法をあげてしまったら、おじさんには何も残らなくなってしまう」というセリフの言い方や、幻術がもらえないなら一緒にいる意味が無いとみどりに言われたために葛藤する心境の表現は、グッとくるものがある。

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