>  >  > 映画館で“音楽ライブ”を上映する意義

立川シネマシティ・遠山武志の“娯楽の設計”第4回

映画館はライブを越える音楽体験を生み出せるか? “ライブスタイル上映”のリスクと革新性

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 コンテンツの受容の仕方は観客に委ねられるべきなのか、制作者の意図に縛られるべきか。
 「発表した作品は観客のもの。受け取り方は自由」と発言する監督は多いですが、このような不特定多数の観客が鑑賞時になんらかの影響を他の観客に与えうる場合でも同様な発言になるでしょうか?  それともこれは“改変”に該当してしまうのでしょうか?  「Hi」の場面はただ観ていたら見過ごされるような何気ない場面ですが、ライブスタイル上映においてはマイケルと仮想コミュニケートできる“最重要シーン”のひとつとなるのです。

 ライブスタイル上映、あるいはいわゆる絶叫上映と呼ばれるスタイルには、なかなかに難しい問題が横たわっています。
 しかしリスクはあるものの、参加型の上映イベントは増加傾向にあります。『アナと雪の女王』のシング・アロング上映、『KIng of Prism by PrettyRhythm』(通称『キンプリ』)応援上映は話題になったのでご存じの方も多いでしょう。

 僕としては、少なくとも音楽ライブ作品は「黙って座って観る」というだけでは寂しすぎると考えます。ニコニコ動画、2ch実況的な、コンテンツの本質がねじ曲がるようなことは起こりづらいですし(例:『天空の城ラピュタ』放送時のネットでの「バルス」一斉書き込み)、実際のライブ会場では立ち上がって騒いで観るわけです (もちろん音楽ジャンルによりますが)。そしてあまねくミュージシャンが言うように「ライブは観客が作る」ものです。場所が映画館になったところで、それは同じはずです。

 映画館は“ただ上映するだけ”というスタイルからの脱却を求められつつあります。動画を観るというだけなら、スマホでもパソコンでも簡単に観られるからです。それだけでは劇場に足を運んでもらえません。そのためには創意工夫だけでなく、リスクを引き受けることもまた要求されるはずです。これからの映画館のスタッフには、企画力、演出力が必要になるということです。映画の知識はもちろんのこと、音楽やデザインや衣装や照明や音響やシナリオライティングの知識・技術が要求されます。サウンドシステムや映写機などの設備だけでなく、総合的なエンタテイメント力の差異が劇場の明暗を分ける時代が必ず来るはずです。

 だからこそ、こんな面白い仕事もなかなかない、とあえて言いたい。“映画館”というもの自体が20年後もまだあるような気がしないとしても。少なくとも僕は毎日楽しくて仕方ないです。

 いつもより長くなってしまいましたが、このテーマで話したいことのまだ10分の1も書けていません。また次の機会に譲りましょう。
 You ain’t heard nothin’ yet !(お楽しみはこれからだ)

(文=遠山武志)

■立川シネマシティ
映画館らしくない遊び心のある空間を目指し、最高のクリエイターが集結し完成させた映画館。音響・音質にこだわっており、「極上音響上映」「極上爆音上映」は多くの映画ファンの支持を得ている。

『シネマ・ワン』
住所:東京都立川市曙町2ー8ー5
JR立川駅より徒歩5分、多摩モノレール立川北駅より徒歩3分
『シネマ・ツー』
住所:東京都立川市曙町2ー42ー26
JR立川駅より徒歩6分、多摩モノレール立川北駅より徒歩2分
公式サイト:http://cinemacity.co.jp/

■公開情報
『ミスター・ダイナマイト:ファンクの帝王ジェームス・ブラウン』
6月18日(土)角川シネマ新宿、渋谷アッブリンク、吉祥寺オデヲンほか全国順次ロードショー
脚本・監督:アレックス・ギブニー
プロデューサー:ミック・ジャガー
出演:ジェームス・ブラウン、ミック・ジャガー、アル・シャープトン、メイシオ・パーカー、メルビン・パーカー、クライド・スタブルフィールド、アルフレッド“ピーウィー”エリス、マーサ・ハイ、ダニー・レイ、ブーツィー・コリンズ、フレッド・ウェズリー、チャックD、アーミア“クエストラブ”トンプソン
配給:アップリンク
2014年/アメリカ/115分/カラー/16:9/DCP 原題:MR. DYNAMITE: THE RISE OF JAMES BROWN
(c)2015 Mr. Dynamite L.L.C.
公式サイト:http://uplink.co.jp/mrdynamite/

      

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