TOKIO長瀬智也はなぜ“異形の主役”ばかりを演じる? 特殊な役回りを考察

 並大抵の俳優だったら、ここぞとばかりに力を入れまくった肩をバキバキ鳴らしながら演じ、空回りし、肩を壊し、視聴率3%で終わってもおかしくない。しかし長瀬は、いたずらに前に出ない演技プランを選択し、主人公でありながら共演者にとっての引き立て役をまっとうする。これは座長として、作品のことを考えてのことだろう。ここ10年以上、長瀬智也はそういったポジションを担い続けている。

 最初は未熟な状態からスタートし、徐々に成長し、ラストでハッピーやラブを手にする人間味あふれる役と、長瀬は無縁だ。恋も実らなければ、出世階段を登ることもなく、絶望すら味わえない孤独なヒーロー。市井の観客が共感しにくいという損な役回りを、役柄を着替えながら、背負い続けられる俳優はそうそういない。

 異形の主役としてドシンと立ちつつ、周りを立てる黒子ポジ。その集大成ともいえる役が『TOO YOUNG TO DIE』で演じたキラーKだった。当代切ってのスター俳優である長瀬智也のなんと9年ぶりの主演映画で、登場シーンのほぼ9割が黒子ならぬ赤鬼メイクとは、できすぎというか皮肉というかシュールというか……。それが世間からはわりとすんなり受け入れられているあたりが、長瀬智也というスターが特殊なポジションにいる証明だろう。(編注:『TOO YOUNG TO DIE』は公開延期に。

 この作品で彼が引き立てるキャラクターは、神木隆之介が演じる大助だ。事故で亡くなってしまった童貞高校生が地獄でキラーKに出会い、好きな女の子とキスをするために輪廻転生を繰り返すという、いい話。キラーKもホロリとさせるバックグラウンドを抱えてはいるものの、基本的には常に鬼の形相でポーズを決めて吠えてのけぞり大助を煽り続ける。

 でもそろそろ、普通に成長したり、ドツボに堕ちたり、絶対的な主人公に振り回される役を演じる長瀬を見てみたい。大河ドラマで主人公に志半ばに殺される無念の敵役とか勝手に推奨。超人とはいえ、枠に収まるのはもったいない!

■須永貴子
インタビュアー、ライター。映画やドラマを中心に俳優や監督、お笑い芸人、アイドル、企業家から市井の人までインタビュー仕事多数。『NYLON JAPAN』『Men’s EX』『Quick Japan』『Domani』『シネマトゥディ』などに執筆。

■ドラマ情報
『フラジャイル』
出演者:長瀬智也、武井咲、野村周平、小雪、北大路欣也ほか
原作:草水敏(「フラジャイル」)、恵三朗(講談社「アフタヌーン」連載)
脚本:橋部敦子
制作:フジテレビ
制作著作:共同テレビ
公式サイト:http://www.fujitv.co.jp/FG/index.html

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