『DENKI GROOVE THE MOVIE?』 石野卓球とピエール瀧インタビュー
石野卓球とピエール瀧が明かす、電気グルーヴの四半世紀「『N.O.』は今歌っても恥ずかしくない」
「大根さんが撮ってるのは、オフィシャル感がまったくないから」(石野)
──この映画、「石野卓球とピエール瀧」っていうサブタイトルがついていますよね。この副題だけ見ると相棒っぽい感じがしますけども、それは抵抗ないですか?
石野:いや、なんとも思わないけど。
──まあ間違いなく相棒ではあると思うんですけど、電気ってふたりで始めたわけじゃないですよね。最初は4人だったし、デビュー前後はCMJKがいたし、その後はまりんがいたし。まりんがやめた時に、誰か入れようとは思いませんでした?
石野:誰か入れようっていうのはなかったね。このふたりがいて、プラス誰かがいてバランスをとるっていうことが、このふたりの間にもう必要なくなったんだと思う。
瀧:メンバーとしてやっていくには、やっぱりそれなりの腹づもりとキャラクターが必要じゃん。そんな奴がいるとも思えなかったんじゃない?
石野:同じぐらいのキャリアでメンバーとして入るんならまだいいけど、今サポートしてくれてる牛尾(憲輔/agraph)くらい若いと、まずそこをフックアップして、っていうところからしなきゃいけないし。それは電気グルーヴの仕事じゃない、って気がするから。だからどう考えてもなかったよね、誰か入れるのは。あとは、俺がやめておまえ(瀧)がひとりで電気グルーヴを引き継ぐっていう。
瀧:「おまえがひとりで電気グルーヴでいいじゃん」的なね(笑)。
──それ、休止してた頃におっしゃってましたよね。でも、そのおふたりの関係性がこの映画の中でも……大根監督、おふたりがじゃれてるシーンをいくつも残してるんですよね。「塗糞祭」のリハでふたりでゲラゲラ笑ってるところとか。これだけ膨大な素材があると、カットしちゃいそうなとこだけども、ここを入れないと電気を描いたことにならない、というのをわかってるなあ、さすがだなあと。
石野:あの人、そこにいてカメラを回してても、その場になじむっていうか。前に密着とかの撮影もあったけど、やっぱり撮られてるのをこっちも気にしちゃうのよ。だから、あそこまでゲラゲラ笑ったりできないんだよね。オフィシャル感が出るっていうか。大根さんが撮ってるのは、オフィシャル感がまったくないから。
瀧:ただ回してるっていう。
石野:普通は仕事で撮影に来てる感じだけど、大根さんは友達が来ていて、そいつがカメラを回してるっていう感覚だからじゃないかな、気にしないですむのは。たまたま友達がハンディカム持ってるっていう。
瀧:クラブにしろイベントにしろ、いても違和感ない人っているじゃない。ただ遊びに来て、酒を飲んでだべってるだけだけど、いても違和感ない人。その人がたまたま監督だったっていう。
──やっぱり正しい人選だったんですね。
石野:うん。正直、最初は「大根さんがいいかな」っていう軽い感じだったけど、今映画ができてから「じゃあほかに誰かいたのか?」って考えると、いないですね。
──電気ってこの映画があって、映画のサントラがあって、そのあとはどういう予定なんでしょうか?
石野:活動休止とかではないから。看板は出してるし、フェスとかイベントも、出たいなと思うやつは出てるし。
──新しいフルアルバム、3年近く出てないですけど。
石野:すぐできる。
──ほんとに?
石野:アルバムはすぐできる。っていうかさあ、アルバムは難産しなきゃいけないっていう、ロッキング・オン出身の人たちの悪しき考え?(笑)。アルバムなんていくらでもできますよ、作ろうと思えば。
──いや、何年もできなかった時期も知っているだけに。
石野:なんで今はそう言えるかっていうと、ライブをやってるから、グループとしての筋力が、足並みが揃ってるじゃない? 布陣はできてる、常にエンジンはあったまってる状態にいるんで、だからすぐできる、ってことですよ。
(取材・文=兵庫慎司)
■公開情報
『DENKI GROOVE THE MOVIE? -石野卓球とピエール瀧-』
2015年12月26日(土)より全国ロードショー
監督:大根仁
キャスト:電気グルーヴ(石野卓球、ピエール瀧)、天久聖一、Andi Absolon、ANI、Bose、CMJK/DJ TASAKA、日高正博、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、道下善之、、中山道彦、小山田圭吾、SHINCO、砂原良徳、山口一郎、山根克巳、山崎洋一郎、WESTBAM
配給:ライブ・ビューイング・ジャパン
上映時間:115分
公式サイト
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