『Re:LIFE~リライフ~』が映画好きの心を掴む理由ーー作中に散りばめられたエピソードを読む
「ラブコメの帝王」とも呼ばれるヒュー・グラントの新境地という触れ込みのもとに公開された今作だが、人生を切り開くための葛藤と哀愁という、一見重くなりがちなテーマを、軽快に後腐れなく演じきれたのは、これまでの彼のキャリアがあってこそという印象を受けた。一方、元海兵隊のガタイのよさをもちながら家族を愛しすぎるあまり、その話題に触れただけですぐに涙ぐんでしまう心優しいハロルド・ラーナー学科長をJ・K・シモンズが好演しており、『セッション』で見せた鬼教師ぶりとは真逆の魅力を放っている。その他、シングルマザーでキースの気になる存在になっていくホリー・カーペンターには『いとこのビニー』のマリサ・トメイ、初対面からキースと敵対関係になるメアリー・ウェルドン教授は『JUNO/ジュノ』のアリソン・ジャネイ、小悪魔的魅力でキースを翻弄する女子大生のカレン・ギャブニーには『ダーク・シャドウ』のベラ・ヒースコートが配役されている。キャスティングもまた、映画好きの心をくすぐること間違いないだろう。
人生はいつだってリライトできる。キースが第二の人生を決めた時、雨続きのビンガムトンに青空が広がる心憎い演出にも注目だ。
■内藤裕子
ライター。2004年より雑誌の編集、WEB企画、商品企画をメインに、イベント企画、総務、人事、広報を経てクリエイターのマネージメントに携わる。現在看護師として働く傍ら、写真関連のUstreamの企画構成にも携わる。
■公開情報
『Re:LIFE~リライフ~』
TOHOシネマズ シャンテ他にて全国ロードショー中
監督・脚本:マーク・ローレンス
出演:ヒュー・グラント、マリサ・トメイ、ベラ・ヒースコート、J・K・シモンズほか
配給:キノフィルムズ
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