芳根京子は大女優の器か? 隠れた名作『表参道高校合唱部!』に見る可能性

芳根京子は大女優の器か?

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『向日葵の丘 1983年・夏』場面写真。左が芳根京子

 なんとも幸福な偶然というべきか、同作が大林宣彦の弟子にあたる太田隆文監督の演出ということもあって、どことなく大林映画を観ているような錯覚に囚われ、ますます彼女が映画で輝く姿が見たいという気持ちにさせられたのである。

 昨年秋に公開された初主演映画『物置のピアノ』は時々上映会が行われているようだが、現時点で容易に観る術が無いことが悔やまれる。ソフト化の予定が無いだけに、これは頻繁に上映会情報をチェックしておく必要があるだろう。だが10月には主演映画『先輩と彼女』が全国公開されるのだから、再び彼女の姿をスクリーンで観ることができる日がすぐ近くまで来ているのである。

 『表参道高校合唱部!』は25日に最終回を迎えるので、放映はあと2回。数多くの人気ドラマが生み出されてきたこの枠ではあるが、同ドラマはその中でも不遇な位置にいる。ドラマ人気が落ち込んでいる昨今とはいえ、初回視聴率が1桁台からスタートしたのは、この枠では過去10年間で4本しかない。このままでは2007年10月クールに放映されていた『歌姫』以来の、全回1桁台という可能性もゼロではない。

 ドラマ自体の内容の良さが視聴率と結びつかないことよりも、将来確実に大女優になる芳根京子の出世作であるドラマが、失敗作という扱いを受けてしまうのではないかということが、ただただ心配でならない。

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■公開情報
『向日葵の丘 1983年・夏』
公開中
公式サイト:http://himawarinooka.net/

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