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『攻殻機動隊』映像美の秘密とは? 新作アニメに影響を与えた、原作者・士郎正宗のテクニック

 7月10日のAmazon売れ筋ランキング「本」部門で26位に入っていたのが、『ニュータイプ 2026年8月号』(KADOKAWA)である。話題作『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』の主人公・草薙素子の表紙が目を引く雑誌だ。

何から見るべき? 複雑なシリーズの流れを4つに分解

『ニュータイプ 2026年8月号』(KADOKAWA)

 7月7日から放送が始まり、早くも大きな話題となっている『攻殻機動隊』。今号の『ニュータイプ』では本作の放送開始に合わせ、主要スタッフ・キャストのインタビューをメインに特集を組んでいる。インタビューを受けているスタッフは、シリーズ構成・脚本の円城塔、キャラクターデザイン・総作画監督の半田修平、音楽監督・音楽の岩崎太整・小西遼・YUKI KANESAKA、撮影監督の伊藤ひかり、そして監督を務めたモコちゃんといった面々。キャスト陣では、バトー役の安元洋貴とトグサ役の中村悠一の座談会と、フチコマ役の金田朋子のインタビューが収録されている。

 「話題になっているから『攻殻機動隊』を見てみたいけれど、何から手をつけていいのかよくわからない」という人にまずオススメしたいのが、本特集の中に収録されているアニメ評論家・藤津亮太氏による解説記事だ。この解説では原作コミックを起点にしつつ、これまでに幾度も試みられてきた『攻殻機動隊』の映像化についての流れが簡潔かつわかりやすくまとまっている。藤津氏は何度も映像化されたことでよくわからなくなっている『攻殻機動隊』の全体像を「コミック第一作から連なる原作の流れ」「1995年の劇場アニメ版から繋がる押井版の流れ」「2002年の『STAND ALONE COMPLEX』に始まる神山版の流れ」「2013年の『ARISE』に始まる9課設立前の前日譚の流れ」の4つに分解。それぞれの内容を紹介するとともに、『攻殻機動隊』とはいかなるシリーズなのか、今回の『攻殻機動隊』はどういった位置付けの作品かを解説している。

 円城塔氏のインタビューも興味深い内容だ。以前からの士郎正宗ファンであることを公言しており、小説『攻殻機動隊アンソロジー』での作品執筆も行なっている円城氏が、情報量の多い原作コミックをいかにしてアニメのシリーズとして再構成し、脚本の形にまで落とし込んでいったのかが語られている。今回の『攻殻機動隊』でも印象的だった原作コミックの欄外注釈の処理が、円城氏をメインにして考案されたものだったことなど、作品を読み解く上で重要なことが語られているインタビューである。

撮影監督・伊藤ひかり氏が明かす舞台裏

 もうひとつ、個人的に大変面白かったのが、撮影を監督した伊藤ひかり氏のインタビュー。今回の『攻殻機動隊』では、80〜90年代のアニメを意識したセル画調の表現や、ブラウン管の走査線が走っている画面を再現した映像など、幅広い表現が取り入れられている。それらの表現を実際に撮影段階でどうやって追加したのかについて、実例をあげて紹介している。

 特に「なるほど!」と思わされたのが、実物の撮影素材を取り込んだ特殊効果についてだ。先日開催された士郎正宗の原画展で強烈だったのが、「実写素材をカラーコピーしたものをコラージュ的に原稿に貼り込んで、力技でCGっぽい絵面を再現する」という方法がかなり多用されていた点だ。いわばデジタルで作画する際の、「レイヤーを分けて手描き以外の素材を入れ込み、さらに処理を加えて画面に必要な要素を足す」という作業を手作りでやっているに等しく、その後の士郎正宗がデジタル作画の探究に乗り出すのもむべなるかな……と思わされるものだった。

 伊藤氏はこの士郎正宗のテクニックに影響を受け、今作でも実写素材を使った特殊効果を考案。オーロラバッグやオーロラシートなど複雑な光り方をする素材を用意し、さまざまな光の当たり方を試しながら実物を撮影。その写真を取り込んで画面内の特殊効果として使うことで、電脳空間での現実とは異なる雰囲気などを表現しているのである。そのほかにも光学迷彩をいかにして表現するかや、ブラウン管っぽい画面を作る方法など「へえ〜」となる項目が多く、これを読んだ上で本編をもう一度見ると新たな発見があるはずだ。

 第二話の放送が待ち遠しい『攻殻機動隊』。大きな話題を呼んでいる作品でもあり、第一話の放送が終わった時点でスタッフ陣の談話が出るのは非常にタイムリーだ。スタッフ・キャストのインタビューに目を通しながら第一話を復習して、来週以降の放送に備えることをオススメしたい。

■書誌情報
『ニュータイプ 2026年8月号』
価格:950円
発売日:2026年7月10日
出版社:KADOKAWA

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