『涼宮ハルヒ』ハルヒから『なぜ逃げ』ハッピーまで、ラノベの最強(凶)ヒロイン大集結 「ライトノベル展2025」レポ

 渋谷のスクランブル交差点に向かってハルヒが呼びかける。無数ともいえるライトノベルの表紙絵がギッシリと並んで壁を埋め尽くす。12月19日から28日までSHIBUYA TSUTAYAを会場に「ライトノベル展2025」(主催:KADOKAWA)が開催。グッズやラノベのキャラクターにちなんだコラボメニューも用意されていて、ファンを作品の世界に浸らせてくれる。

 JR渋谷駅からスクランブル交差点を挟んで見えるSHIBUYA TSUTAYAの壁面に、大きな涼宮ハルヒが登場した。何か呼びかけているようも見えるハルヒに誘われ、SHIBUYA TSUTAYAの1階に入ると、そこはライトノベルに溢れかえった空間になっている。

 ライトノベル・ロードと銘打たれたコーナーは、通路の両側の壁一面にラノベの表紙絵が飾られ、昔読んだ懐かしい作品から今読んでいる最新の作品、そしてまだ読んだことがない未知の作品の雰囲気に触れられる。壁を越えたフロアの中にも、ラノベのイラストがこちらは円環状に吊り下げられていて、サークルの中に入ればカラーイラストを楽しめ、外からはモノクロのイラストを堪能できる。

ライトノベル・ロードにぎっしりと並ぶラノベの表紙

 イラストレーション・サークルでもライトノベル・ロードでも、お気に入りの作品の大好きなキャラクターを見つけて楽しんだり、未知のイケメンキャラや美少女キャラを発見したりしてどんな作品なのかと興味を抱ける。夜迎樹『なぜ逃げるんだい? 僕の召喚獣は可愛いよ』のヒロイン、ハッピーなどはかつてない最凶のビジュアルで見る人を混沌の中に引きずり込むこと請け負いだ。

 イラストだけではない。小説があってこそのラノベということで、「ライトノベル展2025」ではハイライト・ウォールというコーナーを作り、谷川流『涼宮ハルヒの憂鬱』や川原礫『ソードアート・オンライン』、橘公司『デート・ア・ライブ』、暁なつめ『この素晴らしい世界に祝福を!』、長月達平『Re:ゼロから始める異世界生活』といった人気作のシーンを文章で展示し、イラストも添えてラノベというパッケージの雰囲気を感じ取れるようにしている。

 言葉として読んで物語を楽しみ、イラストでキャラクターの雰囲気や背景となった世界観を知る。混在するメディアが物語世界を膨らませてくれるラノベの醍醐味を目の当たりにできる展示だ。

 加えて、映像や音楽といった表現からラノベの面白さを拡張しようとする取り組みも行われている。ラノオトと呼ばれるコーナーでは、ライトノベル展2025とORANGE RANGEの「ミチシルベ~a road home」を融合させた映像や、中川翔子の「空色デイズ」と2000年代ラノベ、TrySail「High Free Spirits」と2010年代ラノベのコラボ映像を上映している。これらはソニーミュージックのヒット曲とラノベを融合させる企画「ラノオト」を、来場者にお披露目したもの。現在はこの3本だが、企画が今後も続くとしたら、どのアーティストがどのラノベとコラボするかが気になる。

イラストレーションサークルのモノクロイラストと「ラノオト」のMV

 「ライトノベル展2025」の会場は、1階のほかに7階にもある。こちらはコラボレーションカフェがメイン。中に入ると、「ライトノベル展2025」のために描き下ろされた『涼宮ハルヒの憂鬱』の涼宮ハルヒや『ソードアート・オンライン』のキリト、『Re:ゼロから始める異世界生活』のナツキ・スバル、『デート・ア・ライブ』の時崎狂三といったキャラたちのスタンディが置かれ、等身大に近いキャラたちを身近に感じ取れる。

 いずれもイヌを連れているのは、会場が「忠犬ハチ公」の渋谷だから。石踏一榮の『ハイスクールD×D』に登場するリアス・グレモリーはイヌをしっかりと胸に抱きかかえ、鴨志田一による「青春ブタ野郎」シリーズの桜島麻衣はイヌ耳まで生やしている。賀東招二『フルメタル・パニック!』のテッサ・テスタロッサが連れている犬はハチ公というより相良宗介といった感じ。忠犬であることには違いないからそれで良いのだろう。

 コラボカフェということで、メニューもラノベのキャラたちにちなんだものだ。『SOA』の「アスナの照りマヨサンドイッチプレート」に燦々SUN『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』から来た「アーリャのおうちストロガノフプレート」、『デート・ア・ライブ』からは「狂三のフレンチトースト」が登場。それら見た目も豪華で美味しそうなメニューに混ざってシンプルなフライドポテトもあるが、これは『Re:ゼロ』から来た「スバルのコンポタ風味フライドポテト」。苦労しっぱなしの彼に心を惹かれるなら頼むしかない。

ラノベキャラとのコラボメニューも登場、スバルのコンポタ風味フライドポテトなどいかが?

 ほかにも、キャラたちにちなんだドリンクメニューも並ぶコラボカフェの周りは、KADOKAWAから刊行されているライトノベルが棚にギッシリと並んでいる。スニーカー文庫へと繋がりライトノベルの発端を作った富野由悠季監督の小説版『機動戦士ガンダム』のシリーズもあれば、世界累計で3100万部を超える発行部数を持つ鎌池和馬『とある魔術の禁書目録』のシリーズもある。

 文庫に限らずカルロ・ゼン『幼女戦記』や黒留ハガネ『崩壊世界の魔法杖職人』と言った単行本のラノベシリーズも並んでいて、KADOKAWAが文庫や単行本で幾つものレーベルを展開して、ラノベの世界を豊かにしていることを目の当たりにできる。

 描きおろしイラストが使われたグッズなどの展示・販売や、イラストレーターの画集の販売なども実施。見て回るだけでスニーカー文庫やファンタジア文庫が立ち上がってから30年を超えるKADOKAWAのラノベの歴史に触れつつ、最先端のラノベの雰囲気を堪能できる。そんなイベントだ。

作品キャラ×イヌのグッズも用意されている。

■「ライトノベル展2025」(主催:KADOKAWA)概要
会期:2025年12月19日(金)~28日(日)
時間:【1F】10:00~21:00 /【7F】11:00~21:00
会場:SHIBUYA TSUTAYA 1F・7F
入場料:無料
主催: KADOKAWA
協力:SHIBUYA TSUTAYA
協賛:dアニメストア
公式サイト: https://promo.kadokawa.co.jp/lanove_ex/

関連記事