ライトノベル最新動向:2025年10月
ラノベは「ダンジョン」×「配信」が次のブームに? 「ダンまち」3タイトル同時刊行ほか、注目の10月新刊をチェック
2025年10月のライトノベルは、シリーズ累計2000万部を突破した大森藤ノによる「ダンまち」シリーズの本編と外伝、そしてスピンオフの最新刊がまとめて登場してファンを大興奮させそう。まずは本編。『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか21』(GA文庫)では、主人公のベル・クラネルが憧れている少女剣士のアイズ・ヴァレンシュタインを含む【ロキ・ファミリア】の一行が、ダンジョンの60階層で壊滅したとの報告をベルが耳にした第20巻からの続きで、都市・オラリオを上げて救出に向かうような激動のストーリーが待っていそう。
そんな【ロキ・ファミリア】の崩壊が描かれた外伝第15巻から続く最新刊『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア16』(GA文庫)でも、かろうじて悲劇を逃れてオラリオに戻ったレフィーヤを軸にしたストーリーが描かれそう。1枚に合わさった本編と外伝がどのような感じに描き分けられ、そして今後どう進んでいくのか。興味津々だ。
もう1冊『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか ファミリアクロニクル episodeアスフィ』(GA文庫)は、【ヘルメス・ファミリア】の団長で「万能者」として名高いアスフィが主人公。謎の幽霊船を調査しに行った先で怪異に巻き込まれ、ありし日の海底都市にたどり着く。主神のヘルメスに苦労をかけられっぱなしのアスフィは今回もまた貧乏くじを引くのだろう。本編と外伝には小冊子付き特装版が用意され、その特装版付きにスピンオフとカレンダーがセットになった超豪華特装版も登場予定。10月11日ごろ発売。
人気シリーズでは、西尾維新の「物語」シリーズ最新巻となる『接物語』(講談社BOX)が10月16日に発売。タイトルから想像できるように斧乃木余接の誕生秘話を描いた最新作で、まだ境都大学オカルト研究会に所属していた頃の忍野メメと貝木泥舟が、先輩で元締めの臥煙伊豆湖から禁忌の儀式に誘われ、こちらはまだ女子高生の影縫余弦と準備に走り回るというストーリー。後に余接を連れて阿良々木暦の前に現れた恐ろしげな余弦がどのような女子高生ぶりだったのが気になる。
「キノの旅」シリーズが25周年を迎えた時雨沢恵一は『フロスト・クラック ~連続狙撃犯人の推理~』(電撃文庫)を10月10日に刊行。イラストは「キノの旅」シリーズと同じ黒星紅白が担当している。海外に住む男のところに日本から連続狙撃事件について推理して欲しいという依頼が寄せられる。電話だけで状況を聞いてトリックを暴き無事解決となったかに見えて、そうはいかない複雑な展開が待っているらしい。すべてが電話の会話で構成されているというところも意外性があって面白そうだ。
コミカライズも大好評の赤城大空「お嬢さまバズ」シリーズにも待望の新刊『【けど相手が若手最強の迷惑系配信者だったらしくアホ程バズって伝説になってますわ!?』(ガガガ文庫)が登場。紅茶を嗜みながらモンスターを殴り飛ばしていく様子が世界中に配信されて大騒動を引き起こしている山田カリンが、深層にソロで挑むという前代未聞の偉業を果たして”深淵”に足を踏み入れたところから始まる新巻だが、きっと笑いながらモンスターもカリンを狙った最強の刺客たちもボコってくれるに違いない。ストレス解消にもってこいの1冊。10月20日発売。
流行っているのか他にも「ダンジョン配信もの」の新シリーズが幾つか登場。10月10日発売のもけねこ『配信に興味ないダンジョン配信者は今日も配信する』(DREノベルス)は、ダンジョンに潜りながら配信をして稼ぐ物前夢希が主人公。倒したモンスターを料理して食べるのが楽しみだった夢希だったが、危地に飛び込む女子高生に見えてしまったのか、冒険者のアヤネが助けに来てそこでモンスター料理に惹かれていく。ダンジョン配信に異世界グルメの合わせ技。お味はいかが?
ゲスト047562『スレ主がダンジョンアタックする話』(電撃の新文芸)は、17歳の少年が初心者で武器も持たずに中級者向けダンジョンに挑む様子を掲示板のスレッドで配信し、熱心なスレ民のアドバイスを受けながら攻略に挑むというストーリー。パワーでねじ伏せていくお嬢さまに驚くのとは違って、素人がしでかすことにハラハラしながら応援していく展開を楽しめそう。10月17日発売。
大ベテランの榊一郎による『最終兵器家族』(GCノベルズ)は、かつて地球を襲った宇宙怪獣と戦い抜け殻みたいになった少女を再生するため、各国のスパイたちが疑似家族となって少女に力の源となる「思い出」を与えようとする。10月20日発売。成東志寿『世界の終わりに君は花咲く』(電撃文庫)は、人を死に至らしめる「黒曜雨」によって滅びかかっていた世界を、大樹となることで救った姉を思い続ける妹と僕の物語。世界が救われた裏側にどのような物語があったのかが気になる。10月10日発売。
第12回ネット小説大賞で入賞の乙黒『迷宮のナダ1』(GCノベルス)は冒険者の卵を集めた学園でトップの成績を誇るパーティー「アギヤ」に所属していたナダが、パーティーを追放されてから巻き起こす下剋上的活躍を楽しめそう。10月30日発売。