「第1回アニセカ小説大賞」授賞式レポ 「夢の中を歩いているようです」受賞作家が書籍化&アニメ化決定で喜び語る
優れた小説などクリエイティブの才能を発掘し、アニメ化を通して世界に送り出すために、出版エージェントの株式会社ストレートエッジとアニメ企画の立案やグループ会社によるアニメ制作を行っているツインエンジンが組んで立ち上げた「第1回 アニメで世界へ!小説大賞」(アニセカ小説大賞)。その受賞作に対する贈賞が9月17日に行われ、大賞受賞作『【私のおふるで悪いんだけど】とお母様(ヒロイン)に取り巻きを押し付けられ、嫁いだ辺境でも嫁扱いされませんが、おかげで自由に生きれます!』を『ケロロ軍曹』『カレイドスター』を手がけた佐藤順一が総監督を務めてアニメ化するプロジェクトの始動が併せて発表された。
【写真】「第1回 アニメで世界へ!小説大賞」授賞式に出席したぷりほか
世界中で大人気の川原礫『ソード・アート・オンライン』や佐島勤『魔法科高校の劣等生』を始め、人気作品を手がける作家を何人もサポートしつつ、次代の新しい才能を送り出し続けているストレートエッジ。中村健治監督『モノノ怪』シリーズや2024年の話題をさらった『しかのこのこのここしたんたん』を始め、意欲的なアニメ企画を幾つも手がけているツインエンジン。それぞれに小説とアニメという得意な分野を持った2社が組むことで、新しい作品や才能を見つけ出し、小説とアニメで世界に送り出したいという思いから、アニセカ小説大賞は立ち上がった。
2024年9月6日から12月5日までの応募期間で、受賞作品がアニメ化されること、賞金が最大100万円であること、協力出版社での書籍化とコミカライズが行われることなどを掲げ、小説投稿サイト「小説家になろう」経由で作品を募集。なんと6000通を超える応募があって、日本国内でも最大級のコンテストとなった。こうした応募作を選考し、栄えある第1回の大賞に、ぷりの『【私のおふるで悪いんだけど】とお母様(ヒロイン)に取り巻きを押し付けられ、嫁いだ辺境でも嫁扱いされませんが、おかげで自由に生きれます!』が選ばれた。
17日に東京都内で行われた贈賞式に出席したぷりは、「まさか自分がという思いが強く、夢の中を歩いているようです」と受賞を聞かされてから時間が経った今もまだ続く感動を表明していた。自身の作品がアニメ化されることが正式に決まったことについては、「自分が楽しんで来たアニメを作った方とご一緒できると思うと胸が熱くなりました」と話して、大好きな『カレイドスター』を監督したり、子供の頃に見ていた『とんがり帽子のメモル』の演出や絵コンテを担当したりしていた佐藤順一が、総監督を務めてアニメ化に取り組んでくれることを「光栄です」と喜んだ。
贈賞式に出席した佐藤総監督は、大賞受賞作について「主人公があまりガツガツしていないところに、面倒なことに巻き込まれるより自由にやりたいと思っている若い人が共感できる要素が入っていると思いました。キャラが個性的でアニメにするのに相応しい作品です」と話して、今の人たちが見て楽しめる作品になりそうとの期待を誘った。
アニメ化を、グループにあるアニメスタジオの株式会社NAGOMIで手がけることになったツインエンジンの山本幸治社長は、「せっかくなので1回目からアニメ化が決まると良いと思っていました」と話して、思い通りにアニメ化に相応しい作品が受賞したことを喜んだ。「小説家の方が食べていくのが大変な時代ですが、アニメ化によって世界で認められるようになれば良いと思っています。第2回も実現したいです」と、優れた作品や才能が、メディアミックスによって大きくなっていく手助けをしていく考えを訴えていた。
第1回アニセカ小説大賞では、特別賞も2作品に贈られた。1作は夏目ナナセの『ダンジョンすみっこぐらし~実力無自覚系配信者を世間は必死で探し出す。早くダンジョンから出てきて!?~』で、「既にいろいろな出版社からオファーが来ていてもおかしくないくらい素晴らしい作品です」と、ストレートエッジを率いる三木一馬社長も賛辞を贈っていた。「無自覚の主人公が無双をして地上が騒いでいるのに、本人は隅っこで生活している描写にニヤニヤできます」と三木社長。すれ違いのギャップが醸し出す面白さがある作品のようだ。
特別賞のもう1作は、宮前葵『美貌の少年の家庭教師をしていたらイケオジ侯爵にプロポーズされたんですが?』。宮前はすでに何作も書籍化を果たしているプロの作家だが、アニセカ小説大賞が持つアニメ化の褒賞に関心を抱いて応募したという。「短めで詰め込んで書いたので、書籍化にあたって伸ばすのが大変で苦労しています」とのこと。三木社長によれば、「敏腕ヒロインが次々と問題を解決していく様はカタルシスがあり爽快感がある」作品で、「歳の差のあるイケオジとのラブロマンスも興味深いです。女性だけでなく男性も続きが気になって読みたくなります」と良さをアピールしていた。
大賞や特別賞の受賞作はいずれも、実業之日本社から書籍として刊行される予定。