三宅陽一郎、柳澤田実が推薦! 福嶋亮大によるAI時代のメディア論『メディアが人間である 21世紀のテクノロジーと実存』刊行へ

 批評家・福嶋亮大による新刊『メディアが人間である 21世紀のテクノロジーと実存』が、2025年10月3日(金)に株式会社blueprintより刊行される。

 同書は、書籍情報サイト「リアルサウンド ブック」にて連載された福嶋亮大の論考「メディアが人間である」に大幅な加筆・修正を加えたもの。脳、人工知能、アート等も射程に収めつつ、マーシャル・マクルーハンのメディア論やジャン・ボードリヤールのシミュラークル論のアップデートを試みている。

 前半では、20世紀を「映画の時代」(蓮實重彥)と見なす立場から、映画において顕在化した20世紀メディアの他者性が、21世紀メディアーーグーグル、AI、ソーシャルメディア、Instagramなどーーにおいていかに変質したかを論じている。メタメディアとしてのコンピュータ(アラン・ケイ、マノヴィッチ)、エントロピー増大に一時的に抗するサイバネティクス(ウィーナー)、鏡とシミュレーション(ディドロ、ボードリヤール)、言語ゲームと生活形式(ウィトゲンシュタイン)、労働の高密度化(マルクス)などの概念が議論の鍵となる。

 後半では、前半で提示した理論の応用編として、戦争と承認、アイデンティティとキュレーション、身体と私、アニメと写真、不眠と記号、美学と羨望などの諸テーマを通じて、21世紀メディアをより具体的に分析するための道具が提示される。さらに、21世紀とはどのような時代であり、人間はそこでいかに生きるべきかという実存的な問題を考えるため、実存主義の先駆者キルケゴールについての論述で締めくくられる。

 なお、同書は株式会社blueprintの評論/批評レーベル「Real Sound Collection」初のハードカバーとなり、装幀家の川名潤がブックデザインを手がけている。カバーイラストは、「EXPO 2025大阪・関西万博」のガスパビリオン「OBAKE WONDER LAND」のキャラクターなどで知られるEMUが描き下ろした。

 同書の帯には、ゲームAI開発者の三宅陽一郎、宗教学者の柳澤田実が以下の推薦文を寄せている。

ゲームAI開発者・三宅陽一郎

企業のメディアが地球を覆い、AIが世界を駆け巡っても、
存在への問いが消えてなくなるほど、人が仮想化されていない近未来。
そんな来るべき未来のための、まったく新しい実存的メディア論。

宗教学者・柳澤田実

ウィルスと生成AIの流行。
作者は匿名化し、人は自分の美学化に余念がなく、
あらゆる関係性は水平化し、真理は多数化していく。
テクノロジーの彼方で、本書は21世紀の実存主義を創始する。

■書籍情報
『メディアが人間である 21世紀のテクノロジーと実存』
著者:福嶋亮大
発売日:10月3日(金)
価格:3,300円(税込)
判型:ハードカバー/四六判
頁数:316頁
ISBN:978-4-909852-63-2
出版社:株式会社blueprint
blueprint book store:https://blueprintbookstore.com/items/68c0ee9886f8d43c5a87d59a

【目次】
序 │ あまりに人間的な非人間
第1回 │ メディアが人間である
第2回 │ 目的から生成へ― 脳・検索・陰謀論
第3回 │ アウラは二度消える― 「遠さ」と「近さ」をめぐる諸問題
第4回 │ メディア史の美学的展望
第5回 │ 電気の思想― マクルーハンからクリストファー・ノーランへ
第6回 │ 鏡の世紀― テクノ・ユートピアニズム再考
第7回 │ 21世紀の起源― 社会を食べるソーシャルの誕生
第8回 │ シミュレーショニズムの系譜― メディアの再人間化への道
第9回 │ ウィトゲンシュタインとAI― 多様化する言語ゲーム
第10回 │ マルクスとAI― 高密度化する労働
第11回 │ 戦争の承認、承認の戦争
第12回 │ ポストトゥルースから物語中毒へ
第13回 │ 心的なワークスペースとしての小説
第14回 │ 私を運営する私― キュレーション・推し・身体
第15回 │ 不眠社会の記号論― トランプ・エジソン・漱石
第16回 │ すべての画像は「写真的なもの」になる
第17回 │ 超多文化主義の到来― ライフスタイル・羨望・美学
第18回 │ グローバル・ヴィレッジのキルケゴール
結論 │ 21世紀の実存
あとがき

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