お嬢様が配信切り忘れてトップスターに? ライトノベル「お嬢様バズ」シリーズが新刊初速前巻比280%と絶好調
原作でも未だ明かされないカリンの強さの秘密
そして始まるカリンの最強伝説が、原作ではどうなっているかというと、最新の第4巻で深層のダンジョンをソロで攻略するという偉業に挑もうとして、世界中から注目を集めている。このまま漫画の連載が続いていけば、読者はこうした凄まじい状況を目の当たりにすることになるだろう。
漫画ではお嬢様風のドレスを身にまとい、手に紅茶を入れたカップを持って”お優雅”に振る舞いながら巨大な骸骨モンスターを殴り飛ばすところまで描かれた。この後はミノタウロスのツノをつかんで振り回して壁にぶち当て、深層のモンスターですら拳だけで倒してみせて視聴者を驚かせ、同時接続者数を増やしチャンネル登録者数を伸ばしてダンジョン配信界のトップスターへと駆け上がっていく。
とてつもない強さを持った冒険者が、突拍子もないファッションと言動で無双していく展開だけで、グイッと興味を引きつけられる作品だ。加えて、『お嬢様バズ』はカリンというヒロインがどこまでも純粋なところが読んでいて気持ちいい。カリンは自分が憧れたアニメ『ダンジョンアライブ』の鬼龍院セツナという、「ドレス姿で紅茶を嗜み華麗な動きとお優雅な振る舞いでモンスターをなぎ倒す」キャラクターになりたいという思いだけで戦っている。読者はそこに、憧れの誰かになりたいと思いながら挫折したり諦めたりした自分の夢を思い出して惹かれてしまうのだ。
自分を信じて戦うカリンが、絶対に負けず苦戦すらしないで展開が進み、巻が重なるごとにエスカレートしていく状況を突破していってしまうところにも、一切のストレスを感じないでいられる嬉しさがある。第1巻を読んだら第2巻、そして第3巻第4巻とページを繰る手、次巻を取る手が止まることがないのも、凄いものを見たいという期待を絶対に満たしてくれるという確信があるからだ。
そんなカリンと絡む人も増えていって、物語に彩りを添える。『ダンジョンアライブ』の原作漫画を描いていたもちもちたまご先生に、カリンがブラック企業のようなクランから助け出し、その後急成長していく神代穂乃花、そしてサムライガールとして世界で知られるダンジョン配信者の四条光姫といった面々がカリンを崇拝したり、カリンと競り合ったりしていく中で、カリンの凄さがいっそう際立っていく。
そうなってくると、いよいよカリンの強さの源流が気になるところだが、これが『お嬢様バズ』でも最大の秘密になって来そう。今でこそ最強では足りないくらいの強さを誇るカリンだが、配信者になる前はずっとひとりで貧乏生活をしていて、食べるものにも困っている有様だった。配信で大金を稼ぐようになっても豪華な食事やゴージャスな住居とは無縁。そんなカリンの人生がどのようなものだったのか、どうしてそこまで強くなったのかといった興味も、物語を先へと読ませる力になってる。
漫画が追いかけ始めた展開を、いずれアニメがなぞっていくとしたら今度は”お優雅”であり同時にド迫力のアクションを目の当たりにできることになる。笑顔で拳を繰り出しモンスターを下すシーンが動いて放送されたり配信されたりすれば、それこそ原作や漫画の中のように万ではきかないバズりぶりを見せるだろう。そのような日は来るのか。お嬢様にしてチンピラめいた言動も繰り出すカリンを誰が演じるのか。楽しみが尽きない。