ホリエモンが明かす、フジテレビ買収騒動の内幕と再建への道 話題の書『フジテレビの正体』を読む

 一方で、堀江氏はまえがきから「フジにとって今回の事件は旧体制から脱却し、新しい会社に生まれ変わるチャンス」だとしており、企業経営者の目線から「フジテレビ再建の道」というテーマにも多くのページが割かれている。フジテレビのコンテンツ力を高く評価し、その“無形資産”を活かす上でのサブスクの強化を力説。広告収入からの脱却、眠らせている知的財産の発掘と活用などを訴え、「一刻も早く、思考停止の30年間に区切りをつけるべきだ」とまとめている。

 そして最終第8章では、「フジテレビ再生のための5つの条件」を提示。「不動産事業とメディア事業の分離」から「芸能事務所との癒着一掃」まで、具体的な事業内容と企業風土の両面から改革の必要性を訴えており、あらためてこれはフジテレビへの恨み節ではなく、「株主として、20年以上前から僕が主張し続けてきたことの一貫性と、テレビの役割が変容せざるを得ないという未来予測の正しさを、この機に理解してほしいという思いがあるだけだ」と綴っている。

 堀江氏は本書の刊行に先立ち、Xでも「とりあえず今の清水社長は意見を言うと聞いてくれそうな感じはするので株主として要望を伝えてみる」(5月28日)とポスト。フジテレビ、ひいてはテレビ業界全体からしても耳の痛い一冊だろう『フジテレビの正体』は、改革の処方箋になるだろうか。業界の反応も注視したいところだ。

■書誌情報
『フジテレビの正体』
著者:堀江貴文
価格:1,540円
発売日:2025年5月30日
出版社:宝島社

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