三島由紀夫、初の書き下ろしとなった衝撃の長篇小説『假面の告白』初版本が復刊へ

 河出書房新社は、1949年刊行の三島由紀夫『假面の告白』を『假面の告白 初版本復刻版』として2025年1月28日に復刊する。

 『假面の告白』は1949(昭和24)年7月に、三島由紀夫による初の書き下ろし長篇小説として刊行。三島みずから「この小説は、私の「ヰタ・セクスアリス」であり、能(あた)ふかぎり正確さを期した性的自傳である」と記した衝撃的な内容とあいまって、その文学的地位を確固たるものにさせた。この記念すべき本作の初版本が三島氏の生誕100年を機に復刻、『假面の告白 初版本復刻版』として限定出版される。本書は2025年1月刊行の初版のみで、以後の重版は予定していないという。

  本作の執筆を三島氏に依頼したのは、坂本龍一の父親としても知られている、伝説の編集者・河出書房の坂本一亀。当時、弊社が力を注いでいた「書き下ろし長篇小説」というシリーズの一冊だったという。三島は坂本一亀の依頼を「ふたつ返事で快諾した」そうです。坂本氏は以下のように回想している。

「三島氏は……ちょうど長篇を書きたいところであった、自分はこの長篇に作家的生命を賭ける、ということをハッキリした口調で語った。そして、これを機会にここをやめるつもりだ、と言う」

 「ここ」とは、三島がとうじ勤めていた大蔵省(現在の財務省)を指しており、以降、三島は専業作家となり、大作家の道を歩み始めた記念碑的作品が本作『假面の告白』である。

  復刻にあたっては、本文のみならず、カバー、表紙、扉、帯、そして、三島氏自身による「「假面の告白」ノート」を含む、当時の「書き下ろし長篇小説」シリーズの各巻に封入された月報までを再現。そして本書を保護するために、函入り仕様としている。ただし、用紙については、同一のものは現在入手不可能のため、できるだけ近い用紙を使用した。

 『假面の告白』初版本の復刻は1996年6月以来の2度目となる。(当時は『初版本完全復刻版 假面の告白』として刊行)。1996年刊行版の封入物として差し込まれた小冊子には、三島氏が広告宣伝のためにものしたという「作者の言葉」、三島氏の死去の直後に書かれた坂本一亀氏による回想エッセイ「『仮面の告白』のころ」、同時代評として神西清氏の書評を掲載。今回もこの3本の文章を掲載した小冊子を封入される。

 三島氏は上記「「假面の告白」ノート」を、「この本は私が今までそこに住んでゐた死の領域へ遺そうとする遺書だ。この本を書くことは私にとつて裏返しの自殺だ」という、衝撃的な一文で始めている。時は昭和24年、本作に込められた三島氏の尋常ならざる熱量を追体験できる、またとない機会となるはずだ。

 

■書誌情報

書名:假面の告白 初版本復刻版
著者:三島由紀夫
初版本装幀・装画:猪熊弦一郎
仕様:四六変型判/上製/288ページ/函入
発売日:2025年1月28日
税込予価:3,960円(予価本体3,600円)
ISBN:978-4-309-03945-9
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309039459/
出版社:河出書房新社

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