速水健朗のこれはニュースではない:共感から反感へ、そしてデスゲームの時代

 イーロン・マスクは自分の誕生日をどう思っているのか。すぐに出てきた記事は、48歳の誕生日のときのもの。「一晩中、オフィスにいた。友だちはいなかったし、何もなかった」というもの(ビジネス・インサイダー・ジャパン)。やはり彼も自分の誕生日が特別な日だという共感を持たないタイプかもしれない。共感が薄いタイプは、皆似たところがある。

 この10年、社会は共感を中心に回ってきたところがある。例えばハッシュタグアクティビズムは、人々の共感を集めるための運動。推し活も強く共感する気持ちの延長にある。かつて人はナショナリズムや共産主義にのめり込んでいたが、個人主義時代にそれが細分化して、個人を推す時代になったと橘玲が指摘している。共感脳が強く前面に出た時代に変わり、ここにきて世界を動かしつつあるのは、共感力に欠けるデスゲーム側の人間たち。イカゲームの世界へようこそ。

■書籍情報
『これはニュースではない』
著者:速水健朗
発売日:2024年8月2日 
※発売日は地域によって異なる場合がございます。
価格:本体2,500円(税込価格2,750円)
出版社:株式会社blueprint
判型/頁数:A5変/184頁
ISBN 978-4-909852-54-0 C0095

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