令和ロマン・髙比良くるま、M-1優勝後の1年「すさまじい密度」振り返る 初著書『漫才過剰考察』インタビュー

ここからが俺の真骨頂なんです

ーー今回の『漫才過剰考察』は、大きく「M-1グランプリ」と「寄席」について書かれた後、霜降り明星の粗品さんとの対談が収録されています。真正面から粗品さんとお笑い論を語っていかがでしたか?

くるま:先輩に向かって申し訳ないですけど、本気で「やばいな」って思いました(笑)。対談では最後、俺がやばいみたいな具合に締められていますが、粗品さんのほうが絶対にやばいんですよ、現代において。40歳とか50歳の芸人なら分かるんですが、俺と1個しか違わないのに、あそこまで自分を保ってここまで来れたというのがすごい。ネットにも強くて、晒されながらも迷うことなくやれているというのはやはり異常ですよね。

ーー対談でも粗品さんについて「自己が強固」と考察されてましたね。とはいえ、逆にくるまさんがお笑いを好きすぎるあまりに「変態」「グロテスク」と言われる場面もありました。

くるま:だから、粗品さんは信じられないんだと思うんですよね。こんなに自分に自信がない俺みたいなやつのことは。話は聞いてくれたんですが、俺の行動については心から理解できていないみたいで、写真撮影の時間も「なんでなん?」「できてんやから普通にやったらええやん」って終始言われてました(笑)。でも、分かんないなりにも粗品さんは「お笑い好き」ってことで俺を一度丸呑みしてくれたんで、話せてよかったですよね。

ーーお二人のお笑い論が語られた貴重な対談だったように思います。もう1名、気になるのが本著でも「ダークヒーロー」として語られている……。

くるま:「両手グー」ですね。ちびっこですね、ちびっこ。

ーーそうです。ウエストランドの井口浩之さん。対談相手として名前が挙がったりとかはなかったのですか?

くるま:井口さんは今後、イベントとかでブッキングしたらどうかという話をしていたんです。そこでちゃんと文句を言ってほしくて。井口さん、今回の本の発売決定のリリースが出たときにも一瞬で反応してくれましたから。Xで「ふむふむ」って(笑)。

ーーふむふむ!

くるま:ふむふむって、どうやって見張ってんだよそれ、と。俺がなんか言ったら通知が来るようにしてんのか! それぐらい早いんですよあの人。もう本当に全ての番組の収録で俺の陰口を言ってるんですよね。他事務所の後輩の陰口を言う先輩なんて、これまでのテレビでいました? しかもものすごいスピードで、なんて情けない……。歴史上いないですよそんな人。だから今回の本をきっかけに直接対決したいんですよ。

ーーそれは実現してほしいところです。今年も年末が近づき、『M-1グランプリ2024』がスタートしています。今回『漫才過剰考察』を執筆されて、ネタづくりやM-1への取り組み方に変化はありましたか?

くるま:今年は本を書きながら実際に舞台に立っていたんで、間違いなく指針にはなります。書き上げるのに本当に苦労をしたのですが、これのおかげで思考がだいぶクリアになった。ただ、これに欠けているのが「M-1を一回優勝しているやつ」とか「本を出してるやつ」と見られるという視点で、その状況でどうするかというのはまだマジでわからない。またギリギリまで考えることになりますね。

ーーそこは考察しきれないと。

くるま:俺らは今回外れ値なんで。なんとも予想しきれない。3回戦はこれで……でもABCは出たからその辺も踏まえて……これはああで、だからここはこうで……と、ネタの本数もそうですが、やっぱりまたいっぱい準備をしないといけないですね。

ーーここからまだ2か月あります。

くるま:もともと、ここからが俺の真骨頂なんです毎年。他の人と比べて、夏に作ったネタを使うとかは絶対ない。ただ、1本だけ面白すぎて一生やっちゃってるネタがあるんですがM-1向きかどうかは分からなくて。今15分ぐらいあるんですが、そのネタは面白すぎる。本当に面白すぎる。

ーー面白すぎる!

くるま:それをやっていいとなってしまったらM-1を破壊してしまう可能性があるほどで、面白すぎて冷めてしまうかもしれない。どんなM-1になるか楽しみにしていてください。

■著者プロフィール
令和ロマン 髙比良くるま
お笑い芸人。吉本興業所属。1994年生まれ、東京都練馬区出身。慶應義塾大学のお笑いサークルで相方・松井ケムリと出会いコンビを結成。2023年のM-1グランプリでは、第1回大会の「中川家」以来のトップバッター、かつ歴代王者の中で最短となる芸歴5年9ヶ月での優勝を果たした。M-1王者として異例の出場を果たした第45回ABCお笑いグランプリ2024でも優勝するなど、今最も勢いのある芸人。

■書籍概要
『漫才過剰考察』
著者:令和ロマン・髙比良くるま
発売日:2024年11月8日(金)
定価:1,760円(税込)
体裁:四六判
発行:辰巳出版株式会社

関連記事