「スパイスとハーブがあれば料理はもっとおいしくなる」 水野仁輔が教える、自宅とBBQでの手軽な使い方

■スパイス&ハーブはアウトドア料理にピッタリ!

市販で購入できるミックスハーブの特徴をまとめたチャートや現在トレンドのスパイスドリンクの紹介など、いつどこから読んでも楽しい内容となっている。

――どれもおいしそうなレシピを紹介していただきました。本書にはもっと多くのレシピが掲載されていて、読んでいてとても楽しいですし、どれも本当においしそうです。今すぐ作ってみたくなりますね。

水野:手軽にできるレシピが多いです。先ほど紹介した4つを全部作って、どれもハマらなかったら、少し休憩してください(笑)。どれか1つでもおいしいと思ったら、他のレシピを作ってみてくださいね。

――どんなシチュエーションで料理するのがおすすめですか。

水野:アウトドアやキャンプ、仲間とのパーティに向いていると思います。自宅で一人でももちろん楽しめますが、人が集まった開放的な場で作ると、いろんな料理にチャレンジしやすい。

――誰かと一緒のほうが、新たなスパイスやハーブとの出会いや魅力を発見するチャンスになるかもしれませんね。

水野:初めて作る料理ってやはり警戒心があると思います。だけど気の合う仲間となら、チャレンジもしやすいし、友人に「うまい!」と言われたらやっぱり作った者としては嬉しい。それに相乗効果みたいなのがあって「うまい」と誰かがなると「お、これはうまいのかな」と仲間たちのハードルも下がる(笑)。みんながスパイスやハーブ料理を楽しむきっかけになります。

■目指すは自分だけの味--ミックススパイスの魅力

自分でミックスするポイントもあり、スパイスやハーブの初心者から上級者まで楽しめるのも嬉しい

――紙面ではコラムも読み応えがあります。どれもスパイスとハーブの雑学が満載です。中でもミックススパイスについて、わかりやすく書かれていますね。市販のミックススパイスはたくさん販売されていて、いつも悩んでしまうのですが購入する際のポイントがわかります。

水野:ミックススパイスは自分でゼロからミックスすると大変なので、まずは市販品を買うのがベストです。僕が常備しているのが、ドライハーブが多く入っている「クレイジーソルト」。これを超えるものって、なかなかないんですよ。ハーブはフレッシュなものほど香りがいいというイメージがありますが、乾燥させると香りの質が変わります。ミントも、パクチーも、ローズマリーも、乾燥すると香りが穏やかになるんです。そして、そんなドライハーブ同士がミックスされると、汎用性の高い香りとなり、万能なミックススパイスになる。

――乾燥させているからこそ、楽しめる香りがある。スパイスとハーブは奥が深いです。

水野:それに「クレイジーソルト」はその名の通り主体が塩なので、とても汎用性がある。塩に香りをつけたものなので、普段から塩のかわりとして使ってます。塩を使いたいと思ったら、「クレイジーソルト」にしてみる。そんな気軽な感じで使うことができるので、初心者の入口としても最適なのです。

――他にもおすすめのミックススパイスはありますか。

水野:「エルブ・ド・プロヴァンス」です。南フランス系のドライハーブのミックスです。これは「クレイジーソルト」と違って塩が含まれていないので、塩と一緒に使ってもいいでしょう。おすすめは、バーベキューで肉を焼いているときに振りかけること。多めに振りかけたとしてもバーベキューだとスパイスが落ちるので、ちょうど良い塩梅になりやすい。野菜でも、魚でも、シンプルに焼いたものに「エルブ・ド・プロヴァンス」を振りかけると、普段とは違う香りと美味さを実感しやすいと思います。

■スパイスドリンク、どう楽しむのが正解?

――最近はスパイスドリンクを扱うお店も増えました。居酒屋のメニューにもなっているほど、ブームになっていると思います。

水野:スパイスもハーブも嗜好品なので、ルールがあるようでないんです。だから開発者や作り手の好みをダイレクトに出せて、自由度がとても高い。逆にいえば失敗が少ないので、アルコールでも、ノンアルでも、スパイスドリンクが広まっているのでしょう。

――スパイスドリンクの魅力はどんなところにあるのでしょうか。

水野:まず、香りが入ると風味が豊かになる。ソフトドリンクならよりおいしく感じられると思います。アルコールもスパイスを少し加えるだけで、まったく別物になりますよ。例えば、普通のジンやウォッカ、甲類の焼酎を買ってきて、スパイスやハーブを何種類か入れて置いておくだけ。そのまま3日くらい経てば、良い香りがつきます。1カ月くらい寝かせておいたならば、のけぞるくらいの香りになる。これをグラスに注いでソーダやジントニックで割ると、バーで出てくるのと遜色ないレベルの味になりますよ。

■余ったハーブの活用法

――本格的な味わいなのに、今すぐ作れそうですね。

水野:ハーブの活用方法としても使えます。他にもあまったハーブを適当にポットに入れて熱湯を注ぎ、1~2分おくだけでハーブティーもできます。油にハーブを突っ込んでおくと、ハーブオイルが作れます。配合の正解は特にないので、気軽にやってみてはいかがでしょうか。

――水野さんの本を読んで、スパイスやハーブを日常に取り入れてみようと考える読者が増えそうですね。

水野:この本の「パート3」には、世界のスパイスとハーブ料理のレシピを紹介したページがあります。ここは特に気合いを入れていて、224ページ中、80ページくらい割きました(笑)。いずれも、世界各国で長きにわたって親しまれてきた料理を厳選しています。写真がとても良くて、どれもおいしそうに思えます。ぜひパラパラめくりながら読んでほしいですね。そして、これはおいそうだと思ったものを、ぜひ作ってほしいです。料理が苦手な人は、周りにいる料理好きに、「これを作って」とお願いしてもいいかもしれません(笑)。

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