インフレしがちなバトル漫画の「数値化」、連載当初から完結まで有効に機能させた作品は?

 では、『ONE PIECE』の懸賞金はどうだろうか。ルフィが挑む敵は常に格上の相手として、実力を測るように懸賞金が発表されてきた。これは凶悪性や社会への影響を加味して世界政府が定めたものであり、他の作品と同様に純粋な戦闘力ではない。

 ワノ国編では、46億1110万ベリーの四皇・カイドウを倒すため、当時15億ベリーのルフィが同格のロー、キッドの2人と同盟を結んだ。これによりカイドウは倒せたのだが、勝利後のルフィの懸賞金は30億ベリー。カイドウの懸賞金を超えなかったことからも、戦闘力のみで判断されていないとわかる。

 また、ルフィが四皇まで登りつめたことを考えると、敵対する海賊とのパロメーター代わりに使われていた懸賞金が、今後機能していくのか、という読者からの不安の声がSNSや考察ブログで見受けられた。

 他にも『七つの大罪』の闘級、『幽☆遊☆白書』の妖力値など、様々な作品が数値化を取り入れていた。これらの作品の数値化を調べる上で一つの特徴が見つかった。それはキャラクターに数値が設定されていることだ。

 『トリコ』は猛獣や植物など、食材になり得るものに対し捕獲レベルが設定され、トリコらキャラクターには強さを示す数値が登場しなかった。そのため、戦い方や仲間との共闘によって倒すことができた、格上とのバトルを純粋に楽しむことができたのではないだろうか。

 他にも、人間界で登場する猛獣の捕獲レベルに100という上限を設けたことや、数十万という大きな数字まで膨らませなかったことも、最後まで数値化を貫けた要因と言えるだろう。

関連記事