【ライトノベル最新動向】『魔法科高校の劣等生』の佐島勤による新シリーズ始動 7月の注目ライトノベル

 ベテランの新作では、7月18日発売の森田季節『異世界エルフと京大生』 (星海社FICTIONS)がタイトルの段階で面白そうな展開を予感させる。小説家になりたい京都大学2回生の真中英勝が南禅寺裏手の参道を歩いて異世界から来たエルフと出会い、いっしょにエルフが元いた世界に帰還するための方法を探り始める。京大出身の作家だけに京都のあるあるがたくさん盛り込まれていそう。神社仏閣にエルフがどのような反応を示すのかにも興味津々。

 『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』の大森藤ノが原作を担当し、青井聖が漫画を描いてきた『杖と剣のウィストリア』の前日譚を、原作者が自ら執筆した『杖と剣のウィストリア グリモアクタ ―始まりの涙―』(GA文庫)も7月14日に登場。魔法至上主義の世界にあって魔法の力を持たない少年が、剣を手に取り栄達を目指すストーリーの原点に触れられそう。『杖と剣のウィスタリア』のTVアニメも7月からスタートするだけに、前日譚で物語世界への理解をよりいっそう深められそうだ。

 人気シリーズの最新刊では、衣笠彰梧による『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編12』(MF文庫J)が6月25日に発売。2年生編でもクライマックスの3学期を舞台に、綾小路清隆たちの最終年度に向けての戦いが繰り広げられる。TVアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』を高島雄哉がノベライズしたシリーズは、Season2に物語が突入する『小説 機動戦士ガンダム 水星の魔女4』(角川コミックス・エース)が7月25日に登場。スレッタとミオリネの関係が揺らぐ中、宇宙の覇権をめぐる謀略が繰り広げられる。

 ライト文芸系では7月18日刊行の杉元晶子『香さんは勝ちたくない 京都鴨川東高校将棋部の噂』(集英社オレンジ文庫)が『歩のおそはや』に続いて将棋をテーマにしていて将棋ファンの関心を誘う。『僕たちにデスゲームが必要な理由』の持田冥介による『ノイズ・キャンセル』(メディアワークス文庫)は7月25日発売。不思議な美術館に迷い込み、そこで手渡されたヘッドフォンを決して外してはいけないといルールを主人公が、危険菜ゲームに巻き込まれていくというストーリー。スリリングな展開を味わえそうだ。

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