【書店危機】今必要なこと『ブックオフから考える』谷頭和希が提言する“せんだら需要”と“非画一性”

■個人店のようなチェーン店が誕生

谷頭氏が注目している書店は、イオンモールに多い「未来屋書店」

――ブックオフのような改革を、既存の書店は十分にできているのでしょうか。

谷頭:新刊書店はまだまだ不十分なところが多いのではないかと思います。ただ、ユニークな書店もあります。個人的に取材したいのが、イオンモールの中に多い「未来屋書店」です。僕が考える最強のチェーンストアは、看板が一緒なのに、売っているものが地域に合わせて違うというもの。未来屋は、チェーン書店でありながら、その店の店員がおすすめの本を並べた書棚を自発的に作っているんですよ。

――チェーン店なのに個人店のような側面を持たせているというわけですね。

谷頭:未来屋書店碑文谷店の店員さんで、すごく江頭2:50さんのYouTubeチャンネル(「エガちゃんねる」)が好きな人がいるんです。番組公式本が出たときに大量に仕入れて、それを売るために特設コーナーを作ったりしているらしい。この熱意が公式側にも伝わり、番組の企画で江頭2:50さんが未来屋書店碑文谷店に突撃し、その大量に仕入れた本を手売りする企画をやったりしているんです。察するに、未来屋書店は、書店員に、ある程度の売り場に関する権限を持たせているのかもしれません。他の未来屋書店でも、地元の高校とのコラボレーションなど、地域それぞれの売り方の工夫がされていましたし。

――従来のように全国画一で同じサービスを提供するだけではいけないと、チェーン店側も気づき始めたということなのでしょうか。

谷頭:その通りだと思います。これまで、チェーンストアは完全に中央集権型のシステムでした。ファミレスはセントラルキッチンを持ち、全国均一で同じ味が提供できるのがウリでした。チェーン店の中では「ドン・キホーテ」は早くから個店主義をとっているのですが、それはあくまでも例外で、よほど革命的なことをしないと不可能だと思われていたのです。しかし、近年はそれでは行き詰まることに気付き始め、ファミレスも地域によっては24時間営業を撤廃したり、運営形態やメニューも工夫を凝らしています。

――チェーン店が地域のニーズに応えていくと、余分な費用が嵩みそうです。

谷頭:それを可能にしたのは、ロジスティックなどのテクノロジーの進化が大きいかもしれません。一昔前は、均一に同じことをしないとロジスティックが回らなかったのですが、今は細かくオペレーションができるようになってきた。書店にもその流れが生まれつつあるように思います。大手とは異なる中小の取次も生まれている中で、店ごとに、地域ごとに合わせて本を配送しないと、ビジネス的に成り立たないという焦りもあるのかなと。

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